特集/イザというときどう手を打つか!
Part.3 地震、事故、健康、隣近所……家庭の一大事
(8)覆面パトカーに捕まったらどうすべきか
速度違反で捕まった場合、道路交通法22条に基づき、刑事裁判を経て有罪となれば、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる。それは、覆面であろうが普通のパトカーであろうが、同じ。事故をともなうケースや100キロオーバーなどの悪質な違反の場合は懲役刑に処せられることもあるが、多くは罰金刑となる。罰金を支払えば、「前科」としてカウントされる。
ただし、軽微な違反の場合、交通違反通告制度によって「反則金」を支払えば、刑事罰を免れることができる。俗に言う、「赤キップ」「青キップ」制度である。一般道であれば速度違反30キロ以上が赤キップとなり刑事罰に処され、30キロ未満であれば青キップとなり、この制度が適用される。高速道路の場合は、40キロが分岐点となる。違反通告に不服がなければ、交付される納付書に書かれた反則金の額を郵便局や銀行などの金融機関に納めればよい。支払いが完了すれば、点数がカウントされるだけで、犯罪歴にはならない(反則金の額およびカウントされる点数については、下図を参照)。
警察が測定ミスを認め
勝訴した例も
では、警察の取り締まりに対して不服がある場合、どうすればよいか。
私のもとに相談が寄せられるケースは大きく二つに分けられる。一つは、「なぜ自分だけを捕まえるのか」「こんなところで取り締まるのは意味がない」と警察捜査のあり方を批判するケース。もう一つは、「そんなスピードは出していない」というケース。前者の場合、勝訴する見込みはほとんどないが、後者にはわずかながら可能性はある。無罪が出た例を紹介しよう。
20年近く乗っているポンコツ車を運転していたドライバーが、速度違反で捕まってしまった。廃車を検討していた矢先、しかも場所は長い坂道の頂上である。警察はそこに速度測定機を設置して、取り締まりを行っていた。ドライバーは、「そんなスピードが出せるわけがない。実際にこの車を使って、坂道を上ってくれ」と測定ミスを訴え、結局、無罪となった。
制限速度内で走る前方の車に追従していたにもかかわらず捕まってしまい、裁判の結果、無罪となった例もある。このケースでは、前方を走っていた車の運転手が証言台に立ち、疑いが晴れた。
電波や赤外線を利用して定点観測で速度を測る、いわゆる「ねずみ捕り」と呼ばれる手法では、まれにミスが生じることがある。警察当局もミスが発生することを認めているのだ。よほど確かな根拠がなければ無罪は難しいが、道は残されている。
速度違反の取り締まりには、もう一つ方法がある。速度測定機任せにしないという意味で、いわば人力による測定である。覆面パトカーなどによる取り締まりがそれで、「パトカーがこれだけの速度を出しているのだから、お前もこれだけ出しているはずだ」という理屈になる。
制限速度を超えて走る緊急車両には、赤灯の点灯が義務づけられている。だが現実には、多くの覆面パトカーは捕まえる直前まで赤灯をつけない。
かつて私は、水戸地裁で、警察のやり方を「違法収集証拠による取り締まり」だと争ったことがある。結論は、「違法は明らかだが、有罪にすることは許される」という何とも納得のいかないものだった。
私の知る限り、赤灯をつけない覆面パトカーの取り締まりで無罪となった例はない。事故を防ぐ役割を担う警察が、自ら違法な手段を使ってまで取り締まるのは、本末転倒としか言いようがない。








