人に教えたくない店 [369]

体調管理を考えて食べるより
仲間と好きなものを楽しく食べたい

本田泰人さん

 
 
本田泰人 = 談
Yasuto Honda
ほんだ・やすと●
1969年、北九州市生まれ。元鹿島・日本代表MF(ミッドフィルダー)。帝京高から本田技研に入社し、92年に鹿島アントラーズに移籍。鹿島の9冠獲得に貢献した「ミスター・アントラーズ」。95年からは主将を務め、チームを牽引した。2006年で現役を引退。J1通算328試合4得点、日本代表通算31試合1得点。
07年7月29日にはカシマスタジアムで引退試合が行われる。93年度チャンピオンシップのヴェルディ川崎戦を再現。往年の名選手との攻防が見物である。
須藤靖貴 = 構成・文浜村多恵 = 撮影
 
 

 ゆっくりと、時間をかけて。ぼくの食事のスタイルです。サッカーは練習でも試合でも消耗が激しく、しっかり食べないと体重が減ってしまいます。自分は食が細いほうなので、目一杯食べてベストの64キロを維持していました。

 でもいっぺんにたくさん食べられない。それでお酒を飲みながら、長く食事するようになったんです。翌日が休みのときなど、仲間たちと夜の9時くらいから始めて、朝の5時まで(笑)。じっくり、少しずつ料理をつまみ続けます。コンディショニングを考えてメニューにこだわる選手も多いんですが、ぼくは好きなものを楽しく食べたい。肉、魚、野菜、豆腐など、意識しなくてもバランスが取れているようです。

 外食でも腰を据えるから、店の雰囲気は大切ですね。「フルトシ」は料理も店員の服装も本格的ですが、雰囲気がとてもカジュアル。スニーカーにポロシャツで行っても、ちっとも気後れを感じさせない。店員さんの物腰、笑顔がいい。こういう店はまた訪れたくなりますよ。

 よく、サッカー選手は1日中サッカーのことを考えろ、と言われます。でもぼくにはできなかった。食べるときにはサッカーのことを忘れたい。メリハリを付けたいんです。

 試合後の食事では、どうしてもゲームのレビューになりますが、ひとしきり話したあとは「違う話題にしよう」ときっぱり話題を変えるときもありました。

 後輩たちと食べるときには、やはりサッカーの話が多くなります。彼らにとってみれば、グラウンドでは言いにくいことを酒の席で話したいんです。技術的、戦術的なことで聞きたいこともあるだろうし。でも、後輩相手だとどうしても説教臭くなってしまう。サッカー談議はきりがなくて、こっちも力が入ってきますから、どこかリラックスしていないんですね。

 みなで遅くまで飲んだ翌日の練習では、必ず先頭に立ってプレーするよう心掛けました。キャプテンが元気にしていると部員は弱音を吐けないでしょう。食事のときにはサッカーを忘れたいのと一緒で、オフタイムの事情はグラウンドには持ち込ませない。それがぼくの考えるメリハリです。

 だから、気に入った店に連れていく後輩は厳選します(笑)。2、3人が心情をわかってくれる。

「いざよい」も雰囲気がいい。テーブル間に余裕があって、落ち着いて過ごせます。

 引退後はチームのアドバイザーなど、サッカーに関わり続けます。一生懸命に食べる必要がなくなったせいか、4キロ減りました。それでもゆっくりと食事を楽しむスタイルはそのままにしようと思っています。

Furutoshi フルトシ 創作多国籍料理
Furutoshi フルトシ
料理、サービス、内装の
三拍子が揃った
カジュアルでお洒落な店

●素材にこだわったインターナショナル・キュージーヌ。赤と黒を基調にしたシックな店内は洗練を感じさせるが、雰囲気はいたってカジュアル。戸辺将文支配人以下スタッフの笑顔がいい。2000年の開店から料理と居心地の良さが評判。
●東京都港区西麻布1-15-10 パークビュー西麻布1・2F
TEL.03-5775-1275
営業時間/18:00〜26:00(LO) 無休


  1. 「近江牛のサーロインステーキとフィレ肉のデュオ」(6800円)。右が炭火で焼いたサーロイン、左がパイ包みフィレのオーブン焼き。肉の旨さを活かした調理法だ。トリュフを刻んで加えたマデラワインのソースが香り高い。
  2. 本田氏も好物の手打ちタリアテッレ(1800円)。一見、普通のトマトソースパスタだが、生地に唐辛子と黒胡椒が練りこんである。ソースのコクのあとにスパイシーさが追いかけてくる逸品。
  3. 「うずらのロースト」(2900円)。ブルターニュ産のウズラにフォアグラのテリーヌが詰めてある。甘めのソースが合う。
  4. 「タラバ蟹とアボカドのサラダ仕立て」(1800円)。蟹とアボカドの食感が抜群で白ワインが進む。糖度の高いフルーツトマト、生ハムが挟んであるコカ(薄いピザ生地)ら脇役との相性も最高。

鳥料理
IZAYOI いざよい


洗練された雰囲気で
鶏料理を味わえる
南麻布の大人の隠れ家

●2002年開店。住宅地の一角にあるユニークな鶏料理店。テーブルやカウンター回りが広く、創作料理をゆったりと味わえる店。
●東京都港区南麻布1-4-5 グランパレス南麻布仙台坂2F
TEL.03-5442-0965
営業時間/18:00〜27:00(26:00LO) 日曜18:00〜23:00(22:00LO) 第1・3月曜休
付近に煙も匂いもしない、わかりづらい店構えだが、接客サービスは温かい。日本酒、焼酎も充実。


IZAYOI いざよい
  1. まずは頼みたい「比内鶏モツの刺身」(1260円)。写真左から時計回りにレバー、ハツ、むね肉、砂肝(分葱が添えてある)。ねっとりしたコクあり、コリコリ感ありと、美味しく楽しい前菜。
  2. 名物の串焼き。右から「フォアグラとバナナ」(320円、相性抜群!)、「味皮」(250円)、「イベリコ豚」(400円)、「比内鶏もも」(370円)。串は約10cmと短め。女性の口回りをよごさない配慮がニクい。
  3. 「骨付きむね肉の花椒揚げ」(1330円)。中国山椒と小麦粉を混ぜた衣で、ジューシーなむね肉を揚げる。爽やかな辛さがビールを呼ぶ。奥は「生ちびーる」(420円。普通サイズは740円)。ビールの旨さも名物のひとつ。泡のきめ細かさは感動的だ。ほかにも、コラーゲンたっぷりの濃厚なスープで食べる「とり鍋」(小2100円、大3700円)が人気。夏場でも食べられる。
 
 
PRESIDENT 2007年7.30号
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