特集/「人付き合い」革命
〜職場の「古くて新しい悩み」スッキリ解決!〜
PART.6
(6)地味な仕事にどうやる気を持たせるか
嫉妬、足の引っ張り合いなどの悩み。
精神科医、人事・組織コンサルタント、成果主義を効果的に運用する
企業の人事部長らに、その解決方法を聞いた。
※ここでは、その中から6番目の課題「地味な仕事にどうやる気を持たせるのか」を紹介します。
これは二つの観点からの解決法が考えられる。一つは「仕事の割り振り・進め方の改善」、そしてもう一つは「本人の感情に訴えかけて意識向上をはかる」ことだ。
仕事の割り振りについて、山下氏は「適材適所の徹底」を強調する。
「誰もがスタープレーヤーになりたいと思っているわけではありません。地味な仕事でも、それが自分に向いている、好きだと思う人はいるはずです。だから上司が部下一人ひとりの適性を見極めて、各自に適した仕事を割り振ることが大事」と山下氏。
頭でわかっていても、実際にはできていないことが多い適材適所の大原則。その原因として、忙しさのせいで部下の観察が不十分であること、そして、過去の履歴を偏重するあまり、部下が今現在どんな仕事に興味を持っているかを見誤ってしまう、ということが考えられる。
それを防ぐには、上司が部下とのコミュニケーションの時間を持ち、部下の適性を正しく見極めていくことが不可欠だ。ちなみに取締役でありながら「私自身、典型的なプレーイングマネジャー」と語る山下氏は、多忙な中で部下との対話の時間を確保するため、前述の通り、直属の部下を集めた定期ミーティングを、週一回のペースで行っている。
さらに仕事へのやる気を持たせるのに有効なのが、「目標を掲げ、マイルストーンを設定すること」である。1年先に実現できるような長期的な目標だけでは息切れしてしまうので、短期で達成できるさしあたっての目標を掲げ、一つ一つ達成していけば、仕事の充実感が増すものだ。
「目標設定を工夫するほか、仕事のやり方そのものを本人に工夫させてもいい。要はその人が楽しんで前向きな気持ちで仕事に取り組むことができるよう、サポートしてあげることです」と山下氏。
ほかにも、部下自身が仕事を工夫できるように権限委譲する、仕事をやり遂げることでどんな成長が期待できるか説明するなど、上司としてできることは必ずあるはず。上司自身が「とりあえずこの仕事やっておいて」という態度で指示を出したとしたら、部下がモチベートされないのは当然とも言える。
一方、本人の感情に訴えかけてやる気を引き出すため、ぜひ意識してほしいのが、「褒める」という行為である。
「われわれ日本人というのは『お世辞』が得意であるにもかかわらず『褒める』のが苦手。『すばらしい方ですね』というような誰にでもあてはまるお世辞は言えるのですが、『君のあのときの発想はすばらしかった』といった、その人らしさをたたえる褒め言葉がなかなか口から出てこないのです。だけど、褒め言葉は意識して口にしたほうがいい。そうすれば地味な仕事に向かっている部下も、上司は自分の働きを見ていてくれるんだな、ということがわかり、安心して仕事に向かうことができる。もっとも、叱るより褒めるほうが教育上はるかに効率的だというのは、こうした場面のみならず、部下の育成全般について言えることですが」(秋山氏)
この「褒める」という観点に基づいた仕組みとして、柴田氏の会社では「組織貢献賞」を設けている。これは年一回、社員全員の投票によって組織に貢献した人物を選び出し、選ばれた人物には金一封が授与されるというもの。
「選ばれるのは、地道にコツコツ仕事をしてきた人が多い。みんなよく見ているな、と思いますね。私どものように表彰制度をつくるのも一つの方法ですが、普段から上司が『がんばってるね』と一声かけるだけで、本人の意識はまったく違ってくるはず。大切なのは、みんながいる場で褒めることです」と柴田氏。
公の場で褒めるのは多少照れくさいかもしれないが、そのほうが地味な仕事にスポットを当て、その仕事の真の価値を周囲にもわかってもらえるという点で、プラス効果が大きい。そして結果的には褒めた上司自身に対する部下の信頼感も増すのではないだろうか。
