人に教えたくない店 [350]
世界の高級料理を食べて辿り着いた
「最後の晩餐」を楽しむ場所
久保利英明さん
会食が多い仕事なので、高級な料理は飽きるくらい食べました。また、海外旅行が好きで、これまで100カ国以上を食べて回りました。そうして様々なものを食べた今、最後の晩餐に選びたいと思っているのが「めん房」。残念ながら、今も自分の意思で食事を楽しめるのは月に数回ですが、その貴重な機会に行く店。美味しくてしかも安い。
料理はおまかせですが、シチューもあれば讃岐うどんも出てくる。皿の上に国境なし! 僕はリベラルな時代に育った世代だから、こういう姿勢にも魅力を感じるわけです。個室の料亭でも「壁に耳あり」ということがありますが、壁自体もないから、むしろ居心地がいい。
この店では月に一回「7日会」を開いています。これは昭和43年前後に東大法学部を卒業した同窓が中心に集まった会。僕らの世代は一人一人が強いので、団塊の世代のようにつるむことは少ないのですが、この会だけはもう27〜28年続いています。メンバーは元国税庁長官に経団連専務理事、会社経営者など。食に欲張りな僕は「胃拡張長官」だと言われています(笑)。
これまでいろいろな店で「7日会」を開いてきましたが、ここ3〜4年はずっとこの店。全員の肥えた舌と未だ旺盛な食欲を満足させられる数少ない場所だからです。
プライベートでは流行の店にも出かけます。でも、力不足を感じることが多い。たとえるなら、「若手人気タレント」のような店より、「歌舞伎役者」や「往年の大女優」のような存在感のある店が好みです。そこで旨いものを味わうと「生きていてよかったなぁ」と感じます。
そんな時間を過ごしたくなったら「グレース」です。20年近いつきあいになる少し年上のマスターと馬鹿話をしながら、旨い酒で1日を締めくくる幸せ。このマスターがまた目利きの腕利きで、稀少なシングルモルトやら極上ワインをごっそり隠し持っている(笑)。しかも間違いがない。不良したくなる気分をなだめるのにも、ここの旨い酒は効きます。
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●旬菜料理
めん房
旬のコースは3675円〜
元は神戸発祥のカレー店
という地の利と経験を生かし
シチュー、讃岐うどん、
明石だこと、まさに
「皿の上に国境なし」●オープン12年、記憶に残る味を心がける。アラカルトもあるが、お勧めはボリュームも満点なコース。日替わりで3675円、4200円、5250円。
●東京都千代田区富士見2-6-10 三共富士見ビル1F
TEL.03-3234-1929
営業時間/17:30〜21:30(LO) 土・日曜・祝日定休 カード可 ※コース料理は要予約
- 神戸から取り寄せる明石産たこ。2kg級の珍しい大物が届いたときなどは、ゆでたてを丸ごと供することもあるという。濃厚なワタの旨みが酒を誘う。
- かつて神戸でカレーショップを営んでいた経験を生かし、2〜3日がかりでつくる松坂ビーフシチュー。さらりとしたドミグラスソースの深いコクにファンが多い。久保利さんはライスを少しもらい、ソースを残さず味わいきる。これがまた旨い。
- ある日の3675円コースの前菜プレート。色とりどりの旬の野菜に車海老、合鴨などがふんだんに盛り込まれ、楽しい食事への期待を高める。
- 阪神大震災により裸一貫となったご主人、王野博さんの東京での再スタートを6年間支え続けたバイクの形見のプレート。
●レストラン・バー
Grace グレース
シングルモルト約800種類など
約5000種類の酒がひしめく
「洋酒の図書館」●「洋酒の図書館」と称するだけあってウイスキーだけでもシングルモルト約800種、ブレンデッド約400種、ワインも含めると約5000種がひしめく、まさに酒の宝庫。店を訪ねたときの最初の一杯には、魅惑のジントニックをぜひ。
●東京都港区元赤坂1-1-16 東京元赤坂ビルB1F
TEL.03-3402-2486
営業時間/18:00〜翌2:00、土曜は〜24:00 日曜・祝日定休 カード可 ※チャージ1人1155円(お通し2品付き)、価格はすべて税・サ(10%)込み。

- 左から6本は久保利さんがキープしているビンテージもののシングルモルト(ボトル2万3100〜46万2000円)、続く3本は氏が世界最高のワインと絶賛するスペイン産赤ワイン「ベガ・シシリア」(ボトル6万9300円)。右の手前2本は1949年もの57万7500円と、2000年のプレミアム75万750円の「マッカラン」。
- 品数は少ないものの料理も旨い。たらば蟹のエスカルゴバター焼き3465円。ほかに久保利さんお気に入りのビーフステーキサンド5775円〜などがある。
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