人に教えたくない店 [349]
流し込むように酒を飲むのは
勝負の世界に生きる男の宿命?
先崎 学さん
対局が終わったら一杯、気の合う人と出会ったら一杯。ですから、千駄ケ谷の将棋会館近くで飲むことが多いです。とくに12〜13時間に及ぶ対局後は、一番疲れているはずの神経が異常に昂って、体の疲れとのバランスがとれません。だから酒。流し込むように飲んでしまいます。まあ、いつもこういう飲み方なのですが。
勝負の世界はどこも厳しいものでしょうが、将棋ではさらに負けたとき「参りました」と口に出して言わなくてはいけない。この屈辱は本当にこたえます。あるとき、負けてヘタリきって歩いていると、目に飛び込んできたのが焼酎「霧島」のラベル。もともと焼酎好きですし、霧島酒造は大会のスポンサーでもあるので、ふらりと入ってみたのが「きばいやんせ」。そうしたら地鶏の旨さに惹かれて通うようになりました。
この店はいつも熱気にあふれています。通ううちにわかったのですが、負けたときはこれが辛いことがあります。熱気に押されて、自分が全面的に否定されているような気がしてしまうんですね。その代わり、勝ったときは相乗効果的にいい気分になれる。ここは勝って訪ねたい店です。
周囲には「大酒飲み」と思われていますが、食事後に仕事に戻るため、飲めないこともあります。そういうときに行くのが「CHACOあめみや」。肉塊と真剣に対峙しなければならないので、ワインを軽くやる程度でガマンできます。たとえば寿司なんか食べると、どうしても大酒を飲まなければならないですから(笑)。
また、格好つけたいときも利用させてもらっています。大きな対局で勝利した後輩に、旨い肉をどーんとごちそうする。普段の僕は14オンスのステーキですが、こういう席では必ず約1キロのブロックステーキを選びます。肉塊の迫力で僕の株は上がるし、別々に頼むよりも実は安上がり。
あ、(芋焼酎の)「佐藤」のおかわりをください。同世代の棋士に強くて嫌な奴がいるんです。佐藤康光九段。将棋では呑めないから、酒で飲み倒してやることにしています(笑)。
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●焼酎と霧島地鶏
きばいやんせ
霧島地鶏と焼酎、
そして薩摩人パワーを
堪能できる
東京・千駄ケ谷の
“リトル・鹿児島”●鹿児島の酒蔵の応援を受けて9年前にオープン。県下すべての焼酎と宮崎の芋焼酎を中心に扱う。また、鹿児島出身の親方以下スタッフも同県人が多く、夜な夜な鹿児島弁が飛び交う。同県出身者にとっては心のオアシスでもある。
●東京都渋谷区神宮前2-21-12
TEL.03-3796-8788
営業時間/17:00〜翌1:30(LO)、ただし土・日曜・祝日は〜23:30(LO) 無休 カード不可 ※要予約
- 霧島地鶏の刺し身盛り合わせ1260円。にんにくと胡麻をきかせた、たまり醤油ベースのたれが歯ごたえのいい地鶏の旨味にコクを添える。
- 霧島地鶏のもも焼き1260円。旨い肉は塩に限ることを改めて実感させられるおいしさ。このほか食材の大半は鹿児島から直送。
- 店内には、薩摩藩主だった島津家の子孫の方の名刺が飾られている。親方の谷口幸雄さんの首には島津宗家の家紋(丸に十字)のペンダントが光る。
●ステーキハウス
CHACOあめみや
大食漢も息を呑む
“1キロ”の迫力は
ステーキというより
むしろ“肉塊”●1979年から炭焼きステーキ一筋。雨宮満夫さん、登志夫さん親子が、ステーキというごちそうを値頃に、最高のおいしさで味わわせてくれる。ハウスワインは勝沼のルバイヤートのもの。
●東京都渋谷区千駄ケ谷1-7-12 B1F
TEL.03-3402-6066
営業時間/火〜土曜11:30〜14:00(LO)、17:00〜22:00(LO)、日曜・祝日17:00〜21:00(LO) 月曜定休 カード可 ※夜は予約が確実

- ニューヨークステーキと呼ばれる10オンスサーロインステーキのセット3800円。肉はオーストラリア産の穀物肥育牛を厳選し、炭焼きで調理する。ちなみに1オンスは約28g。
- 名物のブロックステーキは約1kgの塊を丸焼きにする。サーロインブロック1万3650円。プラス1人600円のセットにすると一口ワイン、サラダ、パンかライス、ドリンク、シャーベットがつく。
- これを分厚く切り分け、醤油とバターで味わうのがあめみや流。肉の甘みが広がり、焼けた表面と生の部分の味の違いも楽しい。
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