強靭で柔軟で機敏……いちばん強い組織のかたちとは

「しなやかな常勝組織」10の特徴

 
 
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しっかりした基盤を持ちながら、
変化に対応できる柔軟性を持つ、
「しなやかな組織」は、おおむね
ここに挙げた10の特徴を備えている。
あなたの会社は、この基準を
どの程度満たしているだろうか。
 
 
ゲーリー・ニールソン、ブルース・A・パスタナック = 文ディプロマット = 翻訳
 
 

 昨今、経営管理の世界で注目されている概念の一つが「しなやかさ(resiliency)」だ。しなやかな組織の最大の特性は、組織とそのパフォーマンスを前進させるために、決定権、情報、動機づけ要因、組織構造が互いに密接につながっていることだ。そのつながりこそが次に記す10の勝利の行動を実践することを可能にしている。

(1) 想像できないようなことを思い描く

 しなやかな企業は、同業他社ではなく人間の想像力の理論的限界に照らして自らを評価する。想像できることなら何であれ実行できるという見方をとる。手本を探す際には「ベスト・イン・クラス」を超えたところに目を向け、競争に備えるためには市場と向こう5年間の展望と現状の背後にあるものを見つめる。転換期には必ず途方もないことを思い描き、足元に火がついた緊急事態をいち早く認識する。

(2) コミットメントとアカウンタビリティの文化を築く

 コミットメントをどのように定義し、それをどのように決定権に置き換え、パフォーマンスをそれに照らしてどのように測定するか。

 しなやかな組織では、コミットメントとそれに付随する決定権は、解釈で変わる類のものではない。石に刻まれたように確たるもので、誰にとっても明白なものだ。しなやかな組織のコミットメントは、十分かつ明確な説明責任という「金」によって裏づけられたハード・カレンシーである。

 金によって裏づけられた通貨制度で人々が紙幣を受け入れるように、市場はしなやかな企業のコミットメントに投資する。そのコミットメントは、結果と同義であると知っているからだ。

 日産自動車は、32のキーワードを明確に定義した「価値参照マニュアル」をすべての新人マネジャーに渡している。その中でコミットメントは「目標を達成する責任を引き受けること」と定義されている。目標は数値で表明され、それを達成することが誓約される。いったん誓約した人間は、よほどの事情がないかぎり、目標を達成しなければならない。達成できない場合は、結果を受け入れる覚悟をせねばならない。

(3) ゴールポストを3年ごとに動かす

 しなやかな企業はたいてい、一つの状態にとどまることなく絶えず変身することで知られている。社員をやる気にさせ、組織を前進させるために、経営陣はゴールポストを一般に2〜3年ごとに移動させる。

 組織の構成単位は、彼らの前進を助けるために設計され、つなぎ合わされており、したがって誰もが適切な情報とインセンティブ、それに効果的な道筋を選ぶ権限を持っている。達成すべき目標は野心的で、組織とそこにいる人々に背伸びをさせるように(それでいて潰れてしまうほどには背伸びさせないように)設計されている。挑戦しがいがあると同時に手に負える範囲内の目標を設定するため、経営陣は最高の判断力と直感を働かせる必要がある。

(4) 所信を断行する勇気を示す

 しなやかな企業は流行を追わない。最新のビジネス理論を鵜呑みにすることも、ウォール街のご機嫌を伺うこともしない。また、「ずっとそうしてきた」からというだけで現状を無条件に受け入れることもしない。最善の嗅覚と情報にもとづいて戦略的進路を描き、自分たち自身が集めた市場情報がその有効性を裏づけているかぎり、その進路を進み続ける。組織改革についても同様だ。必要な場合は組織を改変するが、改革のための改革や、取締役会やアナリストや株主の機嫌をとるための改革は行わない。しなやかな組織は社員を信頼しており、戦略目標が変わったとしても社員は効果的な決定を下して、それを実行することができると信じている。したがって、目標を追求するにあたり??そして一時的な逆境に対処するにあたり、つまずくことが少ない。

(5) 逆境からすばやく立ち直る

 このうえなくしなやかな組織でも逆境にぶつかることはある。健全なDNAを持っていても、それは外部のあらゆるリスク要因からシステムを守ってくれるわけではない。しかし、内部の迅速な対応を促す働きはしてくれる。技術革新であれ、景気後退であれ、競争相手からの挑戦などに直面したとき、しなやかな組織は早めにそれに気づいてすばやく対応策をとる。責任をなすりつけ合ったり、うわべを取り繕ったりして時間や資源を無駄にすることはない。しなやかな企業は、真正面から敵に立ち向かう。傷んだ箇所を切り離して、中核市場でのポジションを守り抜く。さらに重要な点として、攻勢のチャンスをとらえて積極的に成長を追い求める。しなやかさとは「強さや活力をすばやく取り戻す能力」なのだ。

(6) 水平的に思考する

 組織というものをイメージするとき、人はたいてい階層構造を思い浮かべる。しかし、しなやかな組織は、自らの世界観にもう一つの次元を持ち込むことができる。

 しなやかな組織は、組織の階層を減らして縦の境界を越えて活動し、サイロのような縦長構造を取り壊し、ベストプラクティスを広め、部署横断的に協働し、水平的に昇進させることで、価値を余すところなくつかみとる。しなやかな組織は水平的に思考し、より協調的かつ効率的で幅広い能力を持つ組織の利点を享受する。

 しなやかな組織を維持するためには、情報の上下の流れや組織の境界を越えた流れがきわめて重要だ。別の事業部や別の部署の誰かが、あなたの情報を手にすれば顧客によりよいサービスを提供できるという場合には、あなたはその情報をその人物に与える。それはあなたが、そのほうが会社のためになることを認識しているからだ。

(7) 自動修正する

 しなやかな組織は、問題が特別チームでの対応を要するほど、あるいは利益を脅かすほど拡大する前に、問題を見つけて修正する内部メカニズムを制度化している。情報はタイムリーかつ健全に流れ、必要とする人間が容易にアクセスすることができる。システムやプロセスには、外部からスイッチを入れる必要のない自動的なフィードバック・ループが備わっている。しなやかな企業は自動修正する有機体であり、成長とともに学習していく。

(8) 苦情に耳を傾ける

 しなやかな組織は苦情を言う人間を無視したりはしない。彼らの声を聞いて学習するのである。苦情はもともと不愉快なものだ。しかし、しなやかな企業は、苦情はチャンスでもあるということを理解している。だから、しなやかな企業は、顧客の不満だけでなく社員の不満も浮かび上がらせ、対処するメカニズムを内部に備えている。

 それは、「現場の」人々だ。パフォーマンスを高めるためには、こうした人々の意見を引き出す方法を見つけなければならない。とりわけ社員については、苦情を言っても報復されないという安心感を持たせる必要がある。しかし、問題視されている行動を認識し、対処するために組織が何も手を打たなければ、これらはすべて単なるジェスチャーで終わってしまう。

(9) 同じ方向に進ませるように動機づけ要因を与える

 しなやかな組織は、ある行動であなたに見返りを与え、それと正反対の行動であなたを昇進させるようなことはしない。すべての金銭的動機と金銭以外の動機が同じ方向の推進力を与える。「会社にとって正しいことをすべきだということはわかっているが、私が上司から受け取っているシグナルはそうではない」という状態は存在しない。しなやかな組織のもう一つの特徴は、平均以上のパフォーマーと平均以下のパフォーマーを明確に区別するパフォーマンス評価システムだ。

(10)過去の栄光にあぐらをかかない

 しなやかな組織は自己満足しない。それどころか、ちょっとした偏執的こだわりはよいことだという見方をとる。しなやかな企業は、異論の余地のない成功にもかかわらず、けっして勝利にほくそ笑んだり、満足したりはしない。すぐれた仕事に対してはまず見返りを与え、それから目標ラインを引き上げる。市場リーダーの地位を維持するためには、成功をひけらかすことより組織の微調整を行うことに時間を使う必要がある。現に、多くのしなやかな企業が、どれほどおもねった取り上げ方であってもメディアに取り上げられることはひどく嫌っている。重要なのは測定されるもの、すなわち結果なのだ。

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※この記事は、『Results:Keep What"s Good, Fix What"s Wrong, and Unlock Great Performance』の要約です。

 
 
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