特集/最新!言葉のテクニック

「評価が瞬時に変わる」コメント練習帳
PART2:上司が動く──あきらめ感漂う下流上司

それができる人は課長しかいません

 
 
何を言っても暖簾に腕押し。部下を育てる気は毛頭なし。
返事はいいが、ちっとも動いてくれない……
出世をあきらめ、席に座っているだけの上司には、正攻法で接してもムダ。
次に挙げる二つの方法を試してみましょう。
 
 
宋文洲 = 談荻野進介 = 構成交泰 = 撮影
 
 

 最初にお断りしておきますが、仕事はもちろん、自分の人生にも見切りをつけてしまった「上司」を部下の側から動かすのは並大抵のことではありません。どんなに腕利きの医者でも死んだ人を蘇らせることが不可能なように。ですから、以下の話は、あくまで対症療法的なものとお考えください。「試してみる」のはタダですから、何回かトライしてみてください。それでも駄目な場合は潔く諦めることです。

 定年を間近に控え散り行く直前の枯れ葉のような上司、出世競争から遠く脱落し、会社に幽霊のようにいるだけの上司、確かにいますね。そういう人を言葉で動かすには、ポイントが2つあります。こちらの要望を具体的に伝えることと、人間としての自尊心を刺激することです。例えばこんなふうです。「あの案件は、課長が先方の部長ともう一度話をしていただけると助かります。私たち担当者レベルでは話が前に進まないので困っています」。相談したい案件とその解決法を具体的に伝え、「それができる人はあなたしかいない」と駄目押しをするのです。その上司がかなり年上の場合、自尊心を傷つけないよう、言葉遣いには細心の注意を払うべきですが、5、6歳年上だったら、「○○していただかないと困ります」といった多少きつい言い方でも大丈夫です。ここまでお膳立てすれば、どんな上司も動いてくれるでしょう。

 もう1点大切なことは、「私はあなたが嫌いではありません、むしろ、よい感情をもっています」という気持ちで言葉をかけることです。仕事も人生も半ば投げ出してしまったような人に対して難しいことかもしれません。でも、その人を頼って何かをやってほしいなら、少なくとも表面上は、そういう姿勢を相手に示す必要があります。いくら頼りない上司でもその人の人間性まで否定してはいけません。

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宋文洲
1963年、中国・山東省生まれ。92年、ソフトブレーン株式会社を創業。2005年6月、東証1部上場。現在、同社取締役会長。著書に『ここが変だよ日本の管理職』など。

 下流上司に限ったことではありませんが、上司の自尊心を刺激するには、「隣の部署ではこうやっています」という手法もあります。やりすぎると嫌味に聞こえますので気をつけてください。これは「お隣のご主人、毎日早く帰宅して子供をお風呂に入れるんですって。すごいわねえ」と、奥さんが旦那を動かすやり方と同じです。

 さらに裏技として、下流上司の上司と直接、話をするという手があります。課長が肯定しなかった案件を部長にもっていき、了解を得るパターンです。いくらやる気がない上司でも、人間ですから、これをやられるとカチンとくるはずです。その上司との仲が決裂するのを望むならともかく、「課長は『もう少し様子を見たら』と、おっしゃいますが、この件はスピードが何より大事だと私は思います。課長のご意見も含め、私のほうから部長に相談してみたいのですが、よろしいでしょうか?」と、事前に相談をして、仁義を切っておいたほうがよいでしょう。

 究極の手段は、上司の上司、つまり部長に、やる気のない課長の配置転換を進言することです。「密告」という噂が立たないよう、場合によっては周囲とも相談し、十二分に考えてから実行しましょう。この場合も上司の人間性は決して否定してはいけません。あくまで、「上司としてのマネジメント力に欠けて部下が困っている」という事実を具体例に即して訴えるのです。

 一流の営業マンがすべて一流の管理職になれるわけではありません。給料や地位は下げずに、役割を代えることです。下流上司も、やる気あふれる営業マンに戻るかもしれません。そうなったら、逆にあなたが感謝されます。マネジメントができない人が率いる組織ほど弱いものはない。会社は適所適材でいくべきです。

 
 
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