「クロス・ファンクショナル・チーム」を即戦力にするには?
新結成チームですぐに
結果を出せる六つの方策
仕事の内容も知らない社員同士の
集団をまとめあげ、しかも即刻結果を
出すことを求められる機会が増えてきた。
そのためのチーム管理術を紹介する。
マネジャーたちは今、有効な部署横断的チームを早急につくる必要性にかつてないほど迫られている。一つの部署の中では見つけられない多様な専門知識を必要とする新しいプロジェクトが生まれているし、合併や戦略的パートナーシップによって異なる集団が初めて合流させられることも多い。これらの一度きりのチームは、その存立基盤が何であれ、どれもみな一つの共通の特質を持っている。ただちに結果を出していかなくてはいけないのだ。
このような状況で生まれたチームを管理運営することは、マネジャーの指導力にとって明確な、そしてますます重要度を増す挑戦となる。
われわれはマネジャーがこうした挑戦に立ち向かう手助けをするために、マネジャーとして、またコンサルタントとして部署横断的プロジェクト・チームを組織したり、指導したりしてきた長年の経験をもとに、「rapid team building(迅速なチームづくり)」と呼ばれる手法を開発した。この手法は、マネジャーが社員グループを団結したチームにまとめ、ただちに仕事にかからせるのに役立つ六つのツールで構成されている。
(1)個々のメンバーの経歴情報を全員に知らせる
これによって二つの重要なことが達成される。一つは各人の能力に関する情報を全員に伝えられること、もう一つはグループ内にそれらの能力に対する敬意を生み出せることだ。さらに、長く続くチームのメンバーが積み重ねている共通の経験の代用となる、経験を共有しているという意識をメンバーに持たせることで、協力の精神を養うこともできる。
チームのメンバーが自分の経験について遠慮なく話せるよう、自由に答えられる形式の、仕事に焦点をあてた問いかけをすることで、このプロセスを促進することができる。たとえば、「これまでにどのようなプロジェクト・チームに参加してきたか教えてくれないか」とか、「過去に他のチームで直面した大きな挑戦について、またそれにどのように対処したかについて話してほしい」などと語りかけるわけだ。メンバーの中にあなたがすでに知っている人物がいる場合には、以前から知っているという事実とその人物の仕事ぶりの評判を伝える一方法として、あなた自身がその人物のことを皆に紹介してもよい。
(2)チームのメンバーに過去の経験では何が有効だったかを話させる
チームのメンバーに過去のチームでは何が成功に役立ったかを話し合わせることで、参加(engagement)と献身(commitment)の両方が実現できる。
メンバーに各自の考えを話すよう促すことで、彼らの能力と判断に対して敬意を示すことになる。また、スキルと経験の両方を備えた人たちから新しい有用な情報を学べる可能性もある。
だが、一つ注意しておきたい。メンバーに成功するためのアイデアを出すよう促しはしても、集団的意思決定を求めているわけではないということを、はっきり示す必要がある。誰か一人のアイデアをあからさまに受け入れたり、はねつけたりせず、すべてのアイデアの中から選んで、自分自身が行動計画をつくるのだ。このことは、あなたがチームのアイデアに対して公平であること(チームを任務にコミットさせるための中核的な要素)を示すとともに、決定を下す最終的な責任はあなたにあることを伝える働きもする。
(3)チームがどのように協働するのかを明確に伝えよう
チームを目の前の仕事に迅速に取り組ませるためには、明確なビジョンを伝えなければならない。各自に仕事を割り振るだけでは不十分だ。
このチームがなぜ結成されたのかを明確に伝えよう。どのような問題を解決する必要があり、チームの活動が成功したらどのような改善が実現されるのかを説明しよう。次に、チームの活動に期待されている結果を、生き生きと正確に描き出そう。最終生産物がどのようなものになるのかを誰もが理解するように、生み出すべきものを具体的な言葉で言い表すことが大切だ。
次に、何をいつ行わねばならないかをすべてのメンバーが正確に把握するよう、詳しい行動計画を与えよう。
最後に、それぞれのメンバーに自分の役割と他のメンバーの役割がチームの目標達成にどのように役立つのかを理解させることが必要だ。
(4)個々人の強みを最大限に活用する
個々のメンバーの経験や訓練や過去のパフォーマンスを考慮して、各人に最も適した仕事を割り振ろう。適切な割り振りを行うことで、メンバーのスキルや適性がチームの目標に合うように配置され、チームが任務を達成する可能性が高まることになる。
この適材適所の配置を実現することで、メンバーが他のメンバーに自分の経験を話しているとき、あなたがしっかり聴いていたことを実証できる。また、各自のスキルに最も適した仕事を割り振るために必要な他のあらゆる話し合いに、あなたが参加してきたことも示せる。あなたがこのような関心を示すならば、チームのメンバーもそれに応えて、仕事の進展とともに進んで率直なコミュニケーションをとるようになる可能性が高まるだろう。
最後に、仕事を割り振るにあたっての配慮は、すべてのメンバーがそれぞれの仕事で成功できるようにしたい、というあなたの意向をメンバーに伝えることになる。利用できるスキルを最大限に活かすために、チームのそれぞれのポジションについて、またチーム全体について、どのような結果が期待されているのかを明確かつ正確に説明しなければならない。
(5)決定はどのように下されるのかを明確に伝える
チームのそれぞれのポジションについて、決定を下す権限がどこまであるのかを簡単に説明し、チームの任務達成能力やポジション間の関係に影響を及ぼす決定についてはあなたの判断を仰ぐべきだということを、メンバーに認識させよう。たとえば、チームの活動の最終結果や全体的なスケジュール、また他のメンバーの仕事に影響を及ぼす決定は、すべてあなたが下すべきだ。
逆に、個々のメンバーが下すほうがよい決定に介入するのは控えるべきだ。
(6)情報の自由な流れを確保する
チームの活動のさまざまな側面について、これは文書で、これはボイスメールや電子メールで、これは直接伝える、といった取り決めをするなど、チーム内のコミュニケーションの明確なプロセスを確立しよう(ただし合意や決定は文書で記録する必要がある)。その一方で、チーム全体に必要な情報は、紙に記録されたものであれ、コンピュータに記録されたものであれ、文書の形で伝えるのが最も望ましい。
チームのコミュニケーションの最も重要な側面は、そして効果的なコミュニケーションの真の判定基準は、フィードバックがどのように与えられ、どのように受け取られるかである。肯定的なフィードバックを頻繁に、しかも熱意を込めて与え、達成された成果はきちんと認めよう。たとえば、提案に対して「すばらしいアイデアだ。これこそ、われわれの問題に対する現実的な解決策だ」と讃えたり、完成した仕事に対して「よくやった。まさにこれが必要だったんだ」と感謝したりすることで、すばらしい仕事をしようという意欲を高めることができる。
コースを修正したり、仕事の質を高めたりするためには否定的なフィードバックが欠かせないが、それは批判や悪意をともなわずに与えられるべきだ。「あれはうまくいかなかったね。君の力になるために私にできることはないだろうか」とか、「これはわれわれのニーズには合わないね。なぜ合わないのかちょっと説明させてくれ」といった言い方をすることで、否定的なフィードバックをチームの文化の重要な一部にすることができ、重要な情報が隠されたり、過小に報告されたりするのを防ぐことができる。
否定的なフィードバックを受け取るときは感謝の気持ちを示し、それを与えるときは控えめに、しかも非難することなく与え、さらにチームのどのメンバーにも肯定的なフィードバックを与える機会を見つけることで、あなたは効果的なコミュニケーションの文化を築くことができるのだ。
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