人に教えたくない店 [312]

四六時中、頭の中を巡っているのは曲づくり。プライベートで
楽しむ食の時間は、精神的にリラックスできる店に落ち着きます

久石 譲さん

 
 
久石 譲 = 談
Jou Hisaishi
ひさいし・じょう●
1950年、長野県生まれ。国立音楽大学在学中より、現代音楽の作曲活動を開始。卒業後、映画音楽プロデュースの世界へ入る。映画「風の谷のナウシカ」以降、宮崎駿監督、北野武監督などの作品を40本以上手がけ、数度にわたる日本アカデミー音楽賞最優秀音楽賞、日本映画界への貢献が評価された2002年淀川長治賞など数々の賞を受賞。また、映画の監督やイベントプロデュース、数多くのテーマソングやCFソングを手がける一方で、演奏活動も精力的に展開。今年1月、映画「ハウルの動く城」メーンテーマ リアレンジヴァージョンなどを収録したソロアルバム『FREEDOM PIANO STORIES 4』を発表した。加藤雅昭 = 撮影斉藤由利子 = 構成
 
 

 日々の食事は、ほとんどがスタジオで食べる弁当や店屋物。たまの外食は、たいていが仕事の延長。唯一選択権が得られる休日の夕食は、日曜日のために定休日の店が多い。「食」に関して、ある意味あきらめていました。

 ところが、一筋の光を見出せたのが「翁寿司」との出合いです。仕事の移動時に見かけていたのですが、どこか気になる佇まい。思い立って妻と出かけたところ、シャリとネタの温度感というのでしょうか、味のバランスがとてもいい。CF音楽では最初の七秒ほどで心を掴むか否かが決まるのですが、握りを数かん食べただけで、もっと早く伺うべきだったと後悔させられました。

 カウンターに座ったら、まず光ものなどの握りを五、六かんつまみます。これは試行錯誤の末にたどり着いたスタイルで、味のわかるうちにきちんと食べておかないと、寿司に失礼じゃないかと。その後、熱燗で刺身などをいただき、最後にまた握りを、今度はガーッと食べる(笑)。

 最近とくに思うのは、今、この時、出てくる味を楽しみたいということ。「アンティヴィーノ」の店主、古川孝蔵さんとは独立前からの長い付き合いですが、今月のお勧めがなかなかいい。もちろん、グランドメニューもおいしいのですが、旬の食材を使った、今だけの味にとても惹かれます。いい味を楽しんだ記憶は、いつしか人間の幅を広げてくれるものです。味に鈍感だと耳も鈍りますから、常に味を楽しみ、味に敏感でありたいと願っています。

翁寿司 寿司
翁寿司
飾りのない実直な味から
伝わる、大将の心の粋

●1963年より寿司一筋の職人、長田松男さんがつけ台に立ち、千恵子夫人が接客を担当。息の合ったやりとりが、寿司の味わいを彩る。多くの著名人の"教えたくない店"となっている。予算の目安は7000円〜。ランチメニューはない。
●東京都世田谷区駒沢5-16-8
TEL.03-3702-6025
営業時間/11:00〜14:00、16:00〜22:30頃 木曜定休 カード不可 ※予約をしたほうがよい。


  1. 特上寿司と太巻きの盛り込み、3150円〜。まぐろ、いか、きゅうりの裏巻きは翁寿司の看板巻きもの。
  2. 江戸前穴子の塩焼き、だし巻きタイプの玉子焼き、子持ち昆布の盛り合わせ。写真は2100円。柚子の香りで色っぽい味わいの穴子の塩焼きは肴に人気の一品。
  3. まぐろ、いか、海老、ほたて、たらこ、子持ち昆布、山ごぼうなど7〜8ネタを巻く翁巻き2500円〜。お土産にも人気。

トラットリア
ANTIVINOアンティヴィーノ
空間に流れる心地よさと
おいしい料理に酔いしれる

●素敵なレストランよりも偉大な食堂を目指す、というコンセプトの下、豊富な前菜とワインを深夜まで楽しめる。オープンテラス席あり。
●東京都渋谷区東1-14-13 サンフローラハイツ1F
TEL.03-5466-1030
営業時間/18:00〜翌2:00(LO)、祝日は〜22:00(LO) 日曜定休 カード可 ※予約がお勧め


ANTIVINO
  1. 白身魚のパルメザンチーズ焼き 赤ワインソース2310円。写真は、常磐の釣りのすずき。
  2. アンティパストの3種類盛り合わせ1470円(2名より)。手前から、北海だこのカルパッチョ、たらの白子のフリット、アスパラガスのオーブン焼き半熟玉子添え。
  3. パスタ2種類の盛り合わせ1890円(2名より)。手前から、昔懐かしいバジリコ(大葉)スパゲッティ・ペスカトーレ、自家製フェットチーネ オマール海老のトマトソース。盛り合わせはお勧めやグランドメニューから選ぶシステム。
 
 

おすすめコンテンツ

 
 
  1. プレジデント
    永島敏行さん
    千葉の「地場モノ」を食べたくなるのは 俺が東京湾に育ててもらったから
  2. プレジデント
    服部幸應さん
    父から授かった家訓の一つが「夕食は自宅でするな」。 頑なに守っていたら、2年間に休めたのは2日だけでした
  3. プレジデント
    板谷由夏さん
    おいしい情報を入手したら、すぐ出かけないと気がすまない! いつでも思い切り食べられるように、ジョギングしています(笑)
  4. プレジデント
    大橋巨泉さん
    握り恋しさに、成田に降り立ったその足で 千葉・東金の寿司屋に直行します
  5. dancyu
    シンコの始まりは、寿司屋の新学期
  6. dancyu
    長野の山里に知られざる名店を訪ねる 
    日本海の極上ネタを絶妙の技で握る「菊寿し」
 
 
PRESIDENT 2005年3.21号
PRESIDENT 2005年3.21号
税込価格 650 円
売り切れ
 
PRESIDENT公式twitterアカウント

メールマガジン <プレジデントニュース>

 
 

「プレジデント」編集部員による取材現場でのこぼれ話やビジネスマンに役立つオリジナルコンテンツ、新刊書籍案内などを、週1回のペースでお送りいたします。

メールマガジン申込・登録変更