本の時間
著者インタビュー●篠田 達『アールエフの知』
一読すれば、元気と勇気を
取り戻すことができます

- 篠田 達
●しのだ・とおる 1942年、山口県生まれ。中央大学法学部卒業。同大学院修士課程修了。宇部興産を経て、兄弟4人で土木建築業を創業する。地方紙、金融専門紙編集委員を務めた後に独立。週刊誌、月刊誌などで技術、医療、国際金融部門の執筆活動や講演で活躍する。
「毎週金曜日の夕方から夜中まで、社員を集め、一升瓶をデンと置いてイッパイ飲みながら、自分の思いを語り聞かせる。苦労した社員には、それに報いる味わい深い言葉をかけてやり、士気を鼓舞することを忘れない。この本の主人公である丸山次郎社長は、そんな男です」
タイトルのアールエフ社は、長野市に本社を置く社員160名の小さな企業である。歯科用のコードレス口腔内カメラでは米国で85%のシェアを持ち、いままた薬のように飲み込むカプセル型内視鏡の開発に成功し、世界を手中に収めようとする異色の技術開発型ベンチャーだ。
篠田さんが、泊まり込みで長野に通いつめること十数回。初めて訪れたときは、雪のちらつくしびれるほど酷寒の日だったが、書き終える頃には、いつの間にか灼熱の太陽に身を焼かれる酷暑の日になっていた。本誌の好評連載「地方に活路あり」の第1回が本として結実したものである。
この会社がユニークなのは、技術者であり創業者でもある丸山氏が、「知恵を絞れ」という社是を浸透させて、製造から販売まで既存のシステムに頼らず、自分たちでゼロから考え抜いてその道を模索し、確立してきたところにあると篠田さんは言う。海外に支店もなく、強力な販売部隊も持たない同社が、米国で85%のシェアを持つに至った秘密もここにある。

- 『アールエフの知』
●プレジデント社
本体価格1429円+税
そのスピリットを社員たちに浸透させる言葉は、たとえば、「失敗が失敗で終わったら意味はないぞ。苦しんだ代償を求めろ。代償のカギは失敗の中に必ずあるんだ」というもの。篠田さんは、本書の中で丸山氏を「丸山エジソン」と名付けている。「丸山エジソン語録」は、人を鼓舞する不思議な力を持っている。「創業から11年間の足跡を辿ったものですが、あらためて日本のモノづくりの原点を見た思いです。技術立国・日本の退潮が言われて久しいですが、いま、このような野武士集団が数多く世に出てほしいと思います」
取材を重ねるたびに、井戸を掘るがごとく多くの喜怒哀楽の秘話が湧いて出て、ともに笑い、ともに泣き、ときにはこの野武士集団を抱きしめてあげたくなるような衝動にかられたという。どれほど困難であっても、挑んで知恵を絞れば金メダルも夢ではないことを、この本は語っている。
「下請けから脱したい経営者も、ベンチャーを立ち上げて世界ブランドをつくりたい起業家も、また大企業の歯車の中で苦しむあなたも、一読すればきっと勇気と元気を取り戻すことができると思います」
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