人に教えたくない店 [298]
僕と同世代でも、青春はこれから、などと意気軒昂なシェフほど
魅力的。現状に決して甘んじない姿勢にこそ、道は開けます
柴 俊夫さん
料理の中でも、どちらかというとフレンチは長年苦手としていたジャンル。ところが「シェ・イノ」は別格になってしまいました。初めて訪ねたのは2、3年前ですが、今では一人でふらっと立ち寄ることも(笑)。一人で向かうのも無茶だけど、受け入れるほうもヘンでしょう。何故それほどまでに惹きつけられたかというと、料理がおいしいことは大前提として、井上旭シェフの男気に尽きます。シェフを慕って通っている方々は、ちゃんと一つの価値観を確立している方ばかり。そんな方に出会えることは、何にも代えがたい魅力です。
一流の店には一流のお客が集まってきます。一流の店は支配人たちもウィットに富んでいます。自分自身の感性を洗練させておかねば、と身が引き締まりますし、なによりも文化を感じます。夜が更けゆく時間の流れが似合いすぎるシェ・イノは、レストランよりサロンと呼ぶべき店なのかもしれません。
人と外食する機会の多い僕には「好きな店メモ」があります。せっかくなら「旨いね」と感動してほしいでしょう。このメモに記す条件の一つは、シェフの顔が見える店。今、注目しているのは、「Wakiya一笑美茶樓」の脇屋友詞さん。多角的に展開してきた「トゥーランドット」では、きっと抑えてきたのだろう独創性を大いに発揮しています。これがなかなかいい。応援したい気持ちが高まっている一軒です。
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●フランス料理
シェ・イノ
料理を磨いて、人間を磨く。井上シェフの料理や人柄から、食が文化であり、芸術であることを思い知らされます
●コース料理は1万3650円、1万5750円。創業以来21年間親しんできた現店舗から町内に建築中の明治製菓本社ビルに12月1日に移転・営業。
●東京都中央区京橋3-2-11 第百生命ビル1F
TEL.03-3274-2020
営業時間/11:30〜14:00(LO)、18:00〜21:00(LO) 日曜定休 カード可 ※要予約

(写真右上):柴さんを感動させたシャーベットの取り合わせ1680円。季節などに合わせ、プレートのグレープフルーツソースの上に、チョコレートやクリームなどで絵が描かれ、3種のシャーベットが添えられる。左からマンゴー、フランボワーズ、ゆず。
(写真右下):オマールと季節野菜のガトー仕立て4410円。うにソースで。
(写真左下):“ソースの名人”と称される井上シェフが30年前に考案した自慢の一品、子羊のパイ包み焼き“マリア・カラス”7350円。

●中国料理
Wakiya 一笑美茶樓
料理人・脇屋氏が旬の食材を自在に操って目指す一つの形。目が放せません
●2001年の開店。夜の料理は1万500〜3万1500円の5コースのほか、特選コース5万円〜。
●東京都港区赤坂6-11-10
TEL.03-5574-8861
営業時間/11:30〜14:30(LO)、17:30〜22:00(LO)、土曜・日曜・祝日は〜21:00(LO) 無休 カード可 ※要予約。個室あり。バーのある3Fフロア貸切も可
(写真右上):野菜の白玉などを生姜入り黒蜜で味わうチャイナあんみつ。
(写真右下):ジュレ仕立ての黒酢あんが清涼感に溢れる、賀茂茄子の前菜。(写真左上):1週間から10日、手をかけてふっくらと戻し、上湯の味をじっくり含ませるフカヒレの姿煮。半分以上味わったところで、炊きたての土鍋ごはんが供される。ごはんを混ぜて食べるのだが、一滴たりとも残さずに堪能できる心憎い配慮だ。写真はすべて1万8385円のコースより。
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