●原子力の代わりになるエネルギーは何か

 
 
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飯田哲也 修士●工学
Tetsunari Iida
環境エネルギー政策研究所所長。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。メーカー勤務を経て現職。

田端広英=構成

 
 

家や学校の電気は
どこからやってくるのか


 「コンセントの先のことを想像してみてください」
 これまで、自然エネルギーに関する講演会やセミナーでは、そう問いかけてきました。家の電気はどこからやってくるのか。発電源は何か、ということです。
 奇しくも福島第一原発の事故を機に、多くの人が「コンセントの先」に目を向けるようになっています。これからは、「省エネ」や「エコ」といった観点にとどまらず、真剣に原発以外のエネルギー、とりわけ持続可能な新エネルギーについて考えなければなりません。
 2009年度の日本の発電電力量構成比率を見ると、原子力が30%、火力61%、水力を含む自然エネルギーはわずか9%です(今回の原発事故以降は、原子力が減って火力が増えています)。
 このような現状に対して、自然エネルギー関連団体でつくる「自然エネルギー政策プラットフォーム」では、08年に「2050年自然エネルギービジョン」を策定。2050年までに、国内電力需要の67%を自然エネルギーで供給する目標を掲げました。
 2050年というと、ずいぶん先の話のように聞こえるかもしれませんが、社会インフラを変えるためには30年、40年という長い年月がかかります。自然エネルギーによる発電の導入は、従来の大規模集中型から小規模分散型への転換を意味し、送電網の再構築などが必要になります。こうした電力供給システムも含めた制度全体の見直し、特に規制や補助金などの政策面の見直しが重要です。
 たとえば日本の家庭における太陽光発電の普及率は、04年頃までは世界トップでした。しかし、その後、設置に対する補助金が打ち切られたことで伸び悩んでいます。また、20キロワット以上の太陽光発電パネルを設置するためには、電気主任技術者の配置が必要になるなど、普及を妨げるさまざまな規制があるのです。
 そこで、子供たちにはぜひ、クリーンで再生可能な自然エネルギーがなぜなかなか増えていかないのか、その原因を調べて、解決策を考えてもらいたいと思います。

新エネルギーの普及が
進まない理由調べを


 自然エネルギーと一口に言っても、いくつかの種類があります。現在、日本で発電量が多い順に並べると、小水力発電、バイオマス、風力、地熱、太陽光となります。
 小水力発電は、一般的には発電出力が1万キロワット以下(国によって違う)のものを指します。水が流れていて落差と流量のあるところならば設置が可能で、すでに農業用水路や上水道施設を利用するなど、徐々にですが増えていることは確かです。二酸化炭素の排出量が極端に少なく、ダムや貯水池を造る必要がないために建設コストも低いし環境負荷も小さい。昼夜、年間を通じて安定した発電が可能など、いいことずくめですが、それでも増えないのはなぜでしょう。
 地熱発電にしても風力にしても、バイオマスにしても、もちろん太陽光にしても、どんないい点があって、どんな問題点があるのかを調べてみてください。自分たちの町はどうか。学校は? 県はどうか? 近くの発電所に行ってみるのもいいかもしれません。
 すると、「どうしてこんな問題をすぐに解決できないんだ」、というものから、「なるほどこれは大変だ」、というものまでいろいろ出てくるでしょう。そして、自分たちならどうするか、具体的な対策もぜひ考えてみてください。
 エネルギーに関するメディア研究というのもお勧めです。新聞に載っているエネルギー関連の記事を読んで、取り上げている内容を整理してみる。原発推進反対と賛成ではどちらが多いのか。自然エネルギーと他のエネルギーの記事の分量を比較したり、複数の新聞を読んで、社説や同じニュースの取り上げ方を比較してみるのも面白いと思います。
 そして何より、これらをヒントにして今までにないまったく新しいエネルギーを考えてみる、というのも楽しそうですね。
 未来を生きる子供たちにこそ、自分たちの問題として、ぜひ取り組んでほしいと思います。

 
 

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