被災した子供たちの勉強をサポート。
学習塾や私学の支援策

 
 

 東日本大震災で被害を受けた子供たちを、勉学面からサポートしよう──。そんな動きが、学習塾や通信教育会社、私立中学校・高校の間から次々と出ている。
「被災児童生徒支援塾」を打ち出したのは、日本各地の学習塾が加盟する全国学習塾協会。それまでの通塾の有無を問わず、授業料や教材費を原則免除したうえで、希望する地域の学習塾が受け入れるという措置だ。
「まだ問い合わせは数件ですが、これから増えていくとみています。期限はとくに設けていません。被災した児童・生徒が日常生活に戻れるまでと考えています」(同協会専務理事の稲葉秀雄氏)

 同協会の調べによると、被災地では廃業に追い込まれた塾もあるという。物理的に塾に通えなくなった子供たちにはうれしい制度だ。
 通信教育各社も支援制度をスタートした。Z会は被災した子供たちに対し、通信教育とZ会教室(中高生)の受講費を2011年度終了まで免除。ベネッセコーポレーションも、こどもちゃれんじや進研ゼミ小学講座・中学講座などの通信教育講座のほか、直販・定期購読誌の購読者を対象に、4~9月号を無料化する方針を打ち出した。
「震災を理由に退会や解約手続きをされた方でも、申し出があればこの制度を適用しています。ただ、まだこの制度の知名度自体がそう高くありません。岩手・宮城・福島の各県の地方紙やウェブサイトで告知をかけていますが、今後は個別にお知らせする方法も検討中です」(ベネッセ東京本部広報部・坂本香織氏)
 ベネッセでは、小学2年生~6年生が漢字や計算を復習できる教材などをPDFファイルとして無料でダウンロードできるようにしているほか、被災地域の教育委員会や学校と連携しながら、ドリルや辞書、教材の提供も実施。「いつまで」という期限はとくに設けず、継続的に支援を提供していく方針だ。

 私立校も立ち上がった。東京私立中学高等学校協会では、授業料を含む学費免除を前提にした被災生徒の受け入れの調整や、ホームステイのあっせんなどを行っている。4月15日の時点で、全日制や通信制を合わせ約170校が、約1700名の生徒の受け入れを表明。北海道の私立中学高等学校協会も、同様の支援制度を発表した。学力レベルや学風が学校によって異なるため、生徒とのマッチングをどうするかが、現状では課題になっているようだ。

 数ある支援策の中でもっとも注目を集めそうなのは、いわゆる「eラーニング」を活用したケースかもしれない。秀英予備校は、被災地域の中学生を対象に、映像授業「秀英BBS中学講座」を無料でインターネット配信。対象地域の中学生であれば秀英の塾生でなくても視聴可能で、受講者数は100人を突破した。
「当初は4月の履修内容の授業を配信していましたが、中止になった3月分の授業も見たいという要望が多く、英語と数学の3月分の授業を追加しました。さらに五教科については5月分の履修内容も追加し、配信期間も当初予定より一カ月延長して5月末までとしました」(BBS本部の木村俊一郎氏)
 塾業界では、今回の震災でeラーニングへの関心や評価が高まるとの見方が強い。震災支援はもちろん、計画停電への対応にも有効だからだ。「eラーニングを導入している塾は今のところ全体の4割ぐらいです。現状では計画停電はないともいわれていますが、防災対策の一環として採用に踏み切る塾が増えるのではないでしょうか」とみるのは「月刊私塾界」編集長の小松敦子氏だ。「今年は軽井沢など、東京電力の配電地域外の涼しい場所で、夏期合宿を行う塾も多くなりそうです」
 被災地の子供たちが、心おきなく勉強できる日が一刻も早く来ますように。

 
 
プレジデントファミリー 2011年7月号
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