食品、ガソリン、電気、ガス……
値上げの春、家計に厳しく

 
 

 家計にとって、今年の春は試練の季節だ。まず目立つのは、東日本大震災の影響などによるガソリンをはじめとした石油製品の高騰。「西日本の製油所に増産余力があり、海外からも調達が可能で、在庫に余剰感もありますから、パニックが長期化するとは思えません」と言うのは、商品先物取引取扱会社・大起産業の商品アナリスト、小菅努氏だ。「ただ、輸送ルートがどれだけ回復するか。世界の石油供給の約4分の1をカバーする、アフリカ・中東の情勢にも注意する必要があります」
 震災の影響としては、家畜の被害状況も気になると小菅氏は言う。
「肉用牛の14.3%、乳用牛の8.3%は東北地方で飼育されています。供給不足が食肉価格全体に影響する可能性は否定できません。津波被害で打撃を受けた水産加工業についても同様です」

 そもそも震災前から、コーヒー豆に食用油、小麦にタイヤに光熱費と、この春は値上げが相次いでいた。コーヒー豆は10~20%、小麦は18%高。小菅氏によれば、需給のひっ迫と投機マネーの商品市場への流入という、二つの要因があるという。
「農産物や穀物に共通するのが、拡大する需要に供給環境が対応できていないこと。新興国では所得の上昇が需要の急激な拡大を招いています。たとえば、中国のコーヒー消費量は過去5年間で50%増でした。産地であるブラジルのコーヒー消費量も17%増え、結果的に輸出に回る荷が減ったのです」。これまで嗜好品を購入する力がなかった国が、急激な所得向上を背景に、世界中で調達競争を展開しているというわけだ。

「コーヒーは隔年で増産と減産を繰り返すサイクルがあり、2011年は減産の年。世界の在庫水準は過去最低まで落ち込むでしょう。新興国の自動車市場の急拡大で需要が高まっている天然ゴムも、天候不順で品薄状態が続きそうです」
 穀物の値上がりは、飼料としての需要が増えているせいもある。やはり新興国の所得向上で、世界的に肉を食べる人が増えたからだ。「飼料用の需要が増えれば、需要拡大ペースは加速します。過去5年間で中国の穀物消費は小麦で7%、大豆で49%、トウモロコシで12%も増加しました。こうした変化に対応するには着実な増産が必要ですが、昨年は世界的な異常気象で需要を満たすことができませんでした。今年も同様の気候になれば、相場がさらに高騰する可能性もあります」

 投機マネーの動きも気になるところだ。先進各国が金融緩和に踏み切って「金余り」傾向が高まる一方、投資先となるはずの新興国はインフレを恐れて金融引き締め政策へ。その結果、行き場を失った投機マネーが商品市場に流入し、商品価格を高騰させている図式がある。
 マイナス要因が重なるなか、家庭はより一層の節約に励むしかなさそうだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏は次のようにアドバイスする。
「ガソリンについては、価格比較サイトで安い店を探したり、カーナビで最短距離を走り、トランクに重い荷物を積みっ放しにしないなどの工夫で『エコな走り』を目指したいですね。福島原発に代わって火力発電を使うことになれば、ランニングコストが高くなるため電気料金の値上げも避けられません。ライフスタイルを見直し、無駄を徹底的に省く生活を心がけましょう」

 
 
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