都立一貫校が難関化、早慶附属が穴場に。
2011年度中学受験の総括

 
 

 一時期の人気が少し落ち着いたともいわれる中学受験。この春のトレンドの総括を、専門家に聞いてみた。
 進学塾VAMOSの代表・富永雄輔氏が開口一番に挙げるのは、東京都立中高一貫校の人気だ。
 都教育委員会の発表によると、今年の受験者数は昨年比4%増の9934人。人気の小石川中等教育学校の実質倍率(受験者数÷合格者数)は7.43倍(昨年は6.68倍)、両国高等学校附属中学校は8.64倍(同7.79倍)だった。
「今年の受験生はリーマンショック時に小学4年生。受験準備のスタートが遅く、塾の費用も抑え気味でした。『都立ならいいが、わざわざ私立に行かなくても』という層が増えています」。庶民の希望の星、都立一貫校の難関化傾向は続きそうだ。

 私立については、早慶ブランドの低下という注目すべきトレンドがあると富永氏は言う。「とくに早稲田は附属校や系属校を作りすぎ、ブランドイメージを落としてしまいました。推薦やAO入試などで大学の入り口も広く、中学で受験しなくても後から入れるじゃないかという印象があります」。受験する側から言えば、2010年に志願者数が前年比20%も減少し、今年も微増どまりの慶應中等部、志願者数が昨年比で約10%減った早稲田中学校あたりは、難関とはいえ狙い目かも。

 国公立志向が強い関西では、最初から外部の難関大学受験を目指して中堅私立大の付属中を受験する動きがある。「代表例が、すでに国公立大学や関関同立に多数の合格者を送り出している近畿大学附属和歌山中や近畿大学附属中です。大阪産業大学附属校としてスタートした大阪桐蔭も、東大・京大・阪大などへの進学者が年々増加し、注目度が上がってきています」と、希学園・渉外部部長の小畑啓一氏は言う。一方、関関同立の附属校は立ち位置が微妙なようだ。「首都圏の大学附属校と違って国公立大の受験対策に熱心でない学校もあり、親もそのまま上の大学に上がるのがベストなのかと考えてしまうようです」

 実績重視のトレンドは、取材した受験関係者の誰もが指摘する。その好例が、09年から10年にかけて東大合格者数を3倍に伸ばした攻玉社だ。同校は今年、昨年比24%増の2011人の受験者を集めた。
「受験生も保護者も、実績をあげた学校に敏感に反応しますね。海城も同様のパターンです」と、大学通信の常務取締役・安田賢治氏は言う。
「理系で実績を出している学校も受験者数を増やしました。理系は不況でも就職に強い。親御さんは大学だけでなく、その先も見ています」
 加熱気味だった中学受験ブームが落ち着いたことも実績重視の一因と指摘するのは富永氏だ。「いま中学受験をしようというのは、上昇志向の強い人たち。芝や成蹊、雙葉など、校風や伝統に根強いファンを持つ一部の学校を除けば、実績重視は当然の流れでしょう」

ひところに比べて若干落ち着いた感のある中学受験ブーム。だが、都立一貫校や大学進学実績を伸ばした学校の人気はますます高まっている。(写真はイメージです)

 女子については、桜蔭と筑波大附属の2校の難易度が群を抜き、これに渋谷幕張と豊島岡が続く。「できる女の子にとって、桜蔭と筑波大附属以外は魅力を感じられないようです。受けている層、入学している層がまったくよそとは違う」(富永氏)。逆に言えば、その他の学校を志望する女子にとっては、多少競争が楽になっているかもしれない。
 来年度の中学受験、どうなる?

 
 
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