保育園出身より幼稚園出身が高学力?
全国学力テスト結果の正しい読み方

 
 

 文部科学省が小学6年と中学3年を対象に、今年4月に実施した第四回全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が、先ごろ発表された。今回の調査結果を、保護者はどう受け止めるべきか。

 今年から全員参加ではなく抽出調査に変わったが、その結果は前回の調査とさほど大きな違いはない。都道府県ごとの正答率ランキングでは、秋田県や福井県が上位。知識を問うA問題と活用力を問うB問題とを比較した場合、B問題の正答率の低さが目立つのも相変わらずだ。「教育施策の改善という調査の目的を考えれば、今回の抽出調査で十分」と言うのは、教育ジャーナリストの尾木直樹氏。「それより注目すべきは、活用力の相変わらずの低さですよ」

 まず小学校では、国語A問題・算数A問題の平均正答率がそれぞれ83.5%と74.4%なのに対し、小学校国語B問題・算数B問題の正答率は78%と49.6%。中学校の国語A問題と数学A問題の正答率が76.1%、66.1%なのに対し、国語B問題と数学B問題は66.6%と45.2%だ。中学校数学B問題の「道具箱のつくりを数学的に解釈し、成り立つ事柄の特徴を説明する」問いに至っては、正答率はわずか10%だった。

 では、ふるわない活用力をどのように強化するのか。ヒントは、学力調査とあわせて行われた「質問紙調査」にあるかもしれない。
 質問紙調査では、学校に対しては92~93問、児童・生徒に対しては77問にのぼる、学習環境や生活習慣を問うアンケートが行われた。その回答と正答率のクロス集計表を見ると、たとえば小学校の場合、ノートの取り方指導や授業時間外の学習サポートに取り組む学校は、当然ながら正答率が高い傾向にあった。とくに効果的なのは土曜日を利用した学習サポートで、毎週行っている学校は全く行っていない学校より国語Bで4.4ポイント、算数Bで6.9ポイント正答率が高かった。

 いわゆる調べ学習も正答率向上には有効で、とくに資料を使った発表の指導をよく行っている学校は、全く行っていない学校に比べ国語Bで19.2ポイント、算数Bで16.0ポイントも正答率が高かった。「これは興味深い結果です。調べ学習はB問題、つまり応用力の向上につながるはず。今後の方向性の一つといえます」と尾木氏はいう。

 ちょっと論議を呼んだクロス集計の結果もあった。幼稚園出身者は小6、中3ともに、すべての科目で3~6ポイント、保育園出身者の正答率を上回っていたというデータだ。
 だが、お茶の水女子大学文教育学部の耳塚寛明教授は、「その数字は無視すべき」と言い切る。「どういう家庭が子供を幼稚園、あるいは保育園に通わせているのかという要因が考慮されていない。直感としては家庭の経済力の違いが影響しているように思いますが、単純に比較するのは乱暴きわまりない」
 それより、学校支援ボランティアに保護者や地域の人がよく参加する小学校は、まったく参加のない学校に比べて約7~14ポイントも正答率が高いとか、朝食を毎日食べる中学生は全く食べない生徒に比べて数学Bの正答率が約20ポイントも高い、といったデータに目を向けたほうが、わが子の成績アップには役立ちそう。国は今回の調査結果を踏まえた学校の授業アイデア例をすでに公開しているが、家庭向けのヒント集もぜひ欲しいところだ。

 
 
プレジデントファミリー公式twitterアカウント

メールマガジン
<プレジデントファミリー通信>

 
 

「プレジデントファミリー通信」では、毎月2回、当月号の内容とともに、編集部員が取材の中で感じたことや、誌面に載せられなかった裏話、パパ編集長の日常などを毎月2回配信します。

メールマガジン申込・登録変更