理学系研究者ママの

エクセルですぐにできる「乱数百ます計算」作戦

 
 

 東京大学を卒業した女性たちの会「さつき会」の協力により、会員の現役お母さんがインタビューに応じてくれ、自身の子育てで実践した、子供を算数好きにさせる方法を教えてくれた。その方々は左記のとおり(登場順)。


大石理佳さん 理学部卒。高校3年、高校1年、小学5年の三児の母。現在は医療系企業に研究者として勤務。
永沢裕美子さん 教育学部卒。大学3年、中学3年の二児の母。日系、外資系の金融機関での勤務を経て、現在は専業主婦。
西垣淳子さん 法学部卒。小学2年の双子、五歳児の三児の母。現在は国家公務員として霞が関で働いている。
筑本知子さん 工学部卒。高校3年、中学3年、小学2年の三児の母。現在は財団法人で研究者として勤務しながら、大学で講師もしている。
 4人の家庭ではどんな算数遊びが行われているのか。そのレポートである。

 
 

■作戦のポイント

 
 
●エクセルで、数字欄に関数「=ROUND(RAND()*100,0)」を入力する。毎回異なる1~2ケタの数字が現れる。
●エクセルを使えない場合、ます目が入った市販ノートを。
●計算力に自信のない子におすすめ。
 
 

二ケタの掛け算100問が
日課になった


 こんな百ます計算は見たことがなかった。タテに並ぶ数字は、3、21、94、61……。ヨコには、94、88、58、98……。通常は0~9の数字が入るが、ほとんどが二ケタの足し算だったのだ。
「パソコンのエクセルを使って私が作りました。子供が小学1、2年生の頃は一ケタでしたが、そればかりでは退屈だと思って、二ケタ版を作ったら面白がってくれて」
 と語るのは、研究者の大石理佳さん(理学部卒)である。3人の子供は小学校3、4年のとき、この手作りの教材を夏休みの学童保育の時間に1日1枚計算するのが日課だった。母親お手製のドリル、子供にやる気が起きないわけがない。
「この手作り百ます計算は、ほしいときに何枚でもプリントすることができます。数字のケタ数を変えたり、足し算や掛け算などアレンジがきくので、子供の年齢に応じて難易度を変更できるんです」

 ドリルを買うよりも経済的で合理的である。百ます計算の効用は今さら言うまでもないだろう。繰り返し練習によって計算力がアップし、短期集中型の学習習慣が身につくのは広く知られている。
「ます目がどんどん埋まっていく、あの達成感が特徴ですよね。パソコンのファイル立ち上げ時に毎回、異なる数字の配列になるように乱数(「作戦のポイント」参照)を設定しているので、問題のマンネリ化も防げます。その分、頭が疲れてヘロヘロになるので忍耐力も養えますね」

 何しろ二ケタである。一ケタであれば速い人で100問を1分半ですべて計算し終えるが、そうはいかない。1の位も10の位も繰り上がり足し算の連続である。50問過ぎたあたりから、脳みそがしびれてくる。大石さんは子供たちがプリントの空欄を埋めた後、マル付けをしてきた。100問全部計算するのは大変だと思うが、「エクセルで答えを計算させることもできますよ」(大石さん)。

 正しく速い計算処理の能力は、算数・数学の基礎である。ほかにも大石さん自身が99の暗記が苦痛だったという経験から、子供が楽しく99を覚えられるように、「99の替え歌」を作ったそうだ。子供が好きな童謡「ふしぎなポケット」に99を乗せて、子供が小学校に入る前から入浴時などに遊びながら覚えさせていたという。
 そのおかげか、上の二人は高校の進路選択で理系を選び、小5の次女も将来は「お母さんと同じ研究者になりたい」と話しているという。きっと算数好きのDNAが、手作りの百ます計算や99の替え歌を通じて伝わったに違いない。


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