テスト前はクラスで奪い合い

灘中の学年トップ
「行列のできるノート」は芸術品

 
 

灘中に「ノートの神様」と呼ばれる生徒がいるという。
成績も文句なしのトップクラス。
いったいどんなノートをつくっているのか。

 
 

高島崚輔くん
兵庫県生まれ。2009年灘中合格。合格発表を見たその足で本屋へ行き『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)を購入。ノート作りの研究を重ねる。お気に入りのドット付きノートは色違いで購入し、教科ごとに色分けして使用。文房具好きでもあり、休日には母親と文房具店めぐりをすることも。

小島由紀子=文

 
 

どうしてそんなに
きれいにノートを取るの?


村田 高島のノートはどれも参考書みたいにきれいや。とくに幾何のノートは、図形も正確やし、芸術品の域やな。

荒木 先生が猛スピードで板書するのに、よくこんな丁寧に書けるな。

國友 余白も随分とってるな。

高島 新しいテーマになったら、すぐページを変えてる。

村田 ぼくはできるだけ詰めて書く。ノート節約派なんや(笑)。

荒木 村田の1ページ分を、高島は3、4ページも使って書いてんぞ!

高島 実はきれいに見えるのには秘密があってな。罫線にドット(点)が付いてるノートを使ってるからなんや。

村田 ドットを目印に線をつなげば、図形がうまく描けるというわけなんか。

高島 書き出しも揃って見やすくなるから全科目に使ってる。お薦めやで!

國友 高島のノートは見やすいだけじゃなくて、内容も完璧やからテスト前は写させてもらってる。とくに公民はすごい。最近はほかの友達の予約も増えてるし。

荒木 公民は毎回3~5個ぐらいのキーワードしか板書せんから、写させてもらう必要ないんちゃう?

村田 雑談的な話が多いもんな。

高島 そこからテストに半分ぐらい出るんや。だから雑談も書き取ってる。

一同 ほんまや! ほぼ書いてるわ。

荒木 テストでは自由記述が多いし、だいたい合ってれば点数もらえるから写さんでええやろ。

高島 でも、考えるときのヒントになるし、写しておくと安心なんや。

村田 「地球温暖化」についてグループ発表したときの、生徒の発表も書いてるな、このノート。

高島 先生の感想も、全部書いてるで。

國友 解説ばっちりの教科書ガイドみたいやな。いつも助かってるわ!

村田 実を言うと、ぼくはノートなんか自分だけがわかってれば十分と思うんやけど、なんで高島はそんなにきれいに書こうとするんや?

高島 そうやな。きっかけは、塾で欠席者用にノートをコピーさせてやる役目を負ってからかな。「あとで誰が見ても、ぱっと見てわかるように書こう」という意識が芽生えたんや。

一同 そんな意識、ふつうないやろ(笑)。

高島 二人の弟が、将来、受験勉強するときに見せてやって、すぐ頭に入るように書いとこうという思いもあるわ。

村田 かわいがっている弟に財産を残そうという意志があるわけか。

國友 立派やわ。ぼくなんて、テストが終わったら必要ないから捨ててるで。

高島 小学1年から全部とってあるよ。

村田 芸術品やし、ノート博物館が作れそうやな(笑)。

高島 みんなのノートも見せてや。

荒木 地理のノートは、テストの暗記対策に役立つように、三学期からちょっと工夫したんや。

村田 チェックペンで真っ赤やな!

荒木 プリント(授業中に配られる)をノートの左側に張って、板書はノートの右側に書いてる。

國友 地理はノートを作ってないわ。板書は、プリントに直接書き込んでる。

村田 ぼくも。地図とかはすごく小さくなるけど、関連項目のすぐ横に書いたほうがわかりやすいし。

荒木 地図は大きいほうが見やすいから、地図帳を見ながらノートに写す。

高島 地形がリアルやなあ。これはテスト勉強のときわかりやすくてええな。

村田 ぼくはノートの取り方には全然こだわらんから、工夫してるのはテスト対策のまとめ用紙ぐらいやな。

荒木 字が細かいなあ!

村田 B4サイズ1枚に、プリント5~10枚分の内容を書き出してるんや。

高島 内容がトビトビになってるな。

村田 自分がわかってるところは書く必要ないから切り捨てて、覚えにくい個所だけを書き出してる。

高島 なるほど。プリントを自分仕様に再編成するわけやな。

國友 ぼくはテスト前は、本当に高島のノートが頼りなんや。

高島 コピーはせんで、自分でちゃんと書き写してるからよしとしたろ(笑)。

荒木 何を考えながら写してんの?

國友 高島のノートを解説書として、自分に説明したり語り聞かせながら読んでる感じ。朗読みたいに。

村田 それは一番理解が深まるなあ。

荒木 そういえば、中学受験時代は、全く算数のノートを取らんかったわ。

高島 信じられへん! 間違えた問題の解き方もか?

荒木 うん。解説を聞いて考えるだけ。

高島 そのときわかってても、あとで忘れて、「何やったかな?」となったら、ノートがないと困るやろ?

荒木 算数ではそんなことなかった。

高島 荒木は天才肌や! あの難問を全然ノートに取らんでわかるなんて!

國友 ぼくも、じっと板書を見てるほうが多かったわ。それに算数の図形は定規を使わずにフリーハンドで描いてたし。だから解くのも早かったで。

一同 すごいな、これ!

荒木 円もコンパス使ってないん?

國友 簡単や。どんな図形も、描く前に、だいたいの見当をつければええだけやし。早く書けるし、ドットノートもいらん。

高島 いや、ぼくは一生手放せん!

村田 ぼくは今と同じで、ノートに取る必要があるかないかを選別して、取らん場合、別の問題を解く時間にしてたわ。

高島 わかった! 天才タイプは、ノートを取らないでも、聞いてすぐ理解できる。でも、ぼくは天才タイプじゃないから、ノートをひたすら取ってるんや。

荒木 国語も全然取らなかったなあ。

高島 どうやって勉強したん!?

國友・荒木 頭の中で理解してたんや。

高島 ぼくは授業中、聞いててもよくわからんことがあるから、とりあえずノートを取っておけば安心やと思って書いてた。塾の帰りの電車の中でノートを見て復習して、やっと「こういうことやったんだ」と理解してるで。

荒木 国語は全く同じ設問が出る確率が低いから、わからんことを書いても意味がないって割り切っとったわ。

高島 ぼくは国語の記述問題の解説は、一番大事やと思ってたよ。できたやつも、とにかく全部写してたわ。

國友 何を考えながら写してるん?

高島 「自分の解答の導き方と合ってるかな」とか、「もっと具体的に書くべきやったな」とか。板書と自分の答えを頭の中で照らし合わせて再確認してた。

荒木 あんなにノートを書きながらも、脳をフル回転させてたわけか。要は授業に集中してるってことや。

高島 その習慣で中学に入っても、途中でわからんことがあると、今ここで集中して聞いてちゃんとノートを取ろう、ノートで復習したら、後で絶対理解できるっていう思いはあるなあ。ノートに自分の思考の跡を残そうという意識はあるわ。

村田 だから、復習に役立つんやって!

一同 高島はこれからもノートの神様としてがんばってくれや!

 
 
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