東京の公立小中が土曜授業
学校は週休1日に戻る?

 
 

 ゆとり教育の象徴ともいえる小中学校の週5日制が、終わりを告げるのか。東京都教育委員会は1月、都内の公立小中学校における土曜授業を月2回まで認めることを決定した。
 背景にあるのは、学力向上を図るため学ぶ内容を増やした新学習指導要領。小学校では2011年度、中学校では12年度から完全実施され、必要な授業コマ数は従来の指導要領より週に1~2コマ増える見込みだ。

 土曜授業実施の試みは一部の学校現場ではすでに始まっており、都教委の調査によれば、08年度には都内の公立小学校の19.6%、中学校の23.2%が何らかの形で土曜日の補習を行っていた。基礎学力の向上や受験対策を目的に、教師や地域ボランティアによる授業を実施している小中学校も少なくない。今回の決定で、各学校は月2回までの土曜授業に、都からお墨付きをもらった格好だ。
 ただし、これを機に一気に土曜授業が広まるかどうかは微妙なところだ。「区によっても対応は異なりますが、授業参観や運動会なども土曜授業としてカウントできるので、いきなり勉強の負担が増えることはなさそう」と話すのは、足立区立綾瀬小学校の杉渕鉄良教諭だ。

 都が決めた土曜授業の内容は、学力の定着を図る授業のほか、地域住民を講師に招いた総合的な学習の時間など、地域住民に公開することも条件となっている。週5日制の趣旨である「地域や家庭で過ごす時間を増やす」ことを踏まえたものだ。
 だが、この決定をきっかけに今後、週5日制が形けい骸がい化し、私立校のように土曜授業が本格的に復活する事態も考えられなくはない。保護者の間では、土曜授業を望む声が多いからだ。
 小学5年生の男子を持つ専業主婦のA子さんは、土曜授業待望派。「私たちの時代は、子供が土曜日に授業を受けるのは当たり前だった。土曜を休みにしたのがそもそもの間違い。運動会だけと言わず、きっちりと授業をしてほしい」。中学1年の娘を持つフルタイム勤務のB子さんも「毎週だと家族での外出や旅行に差し支えるが、月2回程度なら」と語る。
 習い事や塾などへの影響も、少なそうだ。「うちではサッカーを習わせていますが、土曜授業が本格化すればどこも対応を考えるはず」(Aさん)。
「子供が通っている野球教室も、その頻度なら問題ありません」(Bさん)。土曜テストを実施してきた大手進学塾も、「土曜授業があった時代と同様に午後から実施しているので、影響はない」と語る。
 さらに主婦のホンネとしては、学力向上もさることながら、土曜も子供を学校に送り出せたほうがいろいろと楽、という事情もあるようだ。

 教師側はどう受け止めているのだろう。都内の別の公立小の教師は打ち明ける。
「土曜授業があった時代から教師をしている人の間でも、賛否両論あります。賛成理由のひとつは、土曜勤務があったころのほうがちゃんと休みをとれたというもの。夏休みなどの期間中も会議や研修、プール当番などで結構忙しいのですが、以前なら土曜勤務分の振り替えで必ず何日か休みをとれたんです」
 一方、反対理由の代表は、子供たちにとって負担が大きすぎるのではないかというものだ。教室で実際に接している印象からすると、週5日の授業を終えた子供たちは相当疲れていると、前出の公立小教師は語る。「あと1日の頑張りがどこまできくか。今でも1年生から毎日5時間授業、2年生には6時間授業の日が組まれています。予習復習や宿題も加えると、子供たちはすでに飽和状態なのでは。真の学力向上には、学校と家庭の両方での学習習慣の確立がより重要だと思います」
 単純にコマ数を増やしたというだけの実績作りに終わらないかと危惧するのは、前出の杉渕教諭だ。「学力向上という目的を考えたときまず必要なのは、教師の質を上げること。コマ数を増やしても、教師が精神的にも物理的にもゆとりがないままでは何の意味もありません」
 実際に土曜授業をするかどうかは、市区町村教委や各校の判断に任されている。新しいコマ数をうまく活用できるか。

 
 

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