藤原和博センセイに相談しました

わが子が憧れの職業にぐっと近づく進路

 
 

子供の好きなことが
仕事選びや大学選びに直結したら、
どれだけすばらしいことか。
キャリア教育のプロ・藤原和博先生に、
親が協力できること、提案できることをたずねた。
日本一大学に詳しい男が聞き手をつとめる。

 
 

藤原和博
1955年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後リクルート入社。03年、杉並区立和田中学校校長に、都内初の民間人中学校長として就任。進学塾と連携した「夜スペ」などさまざまな学校改革に取り組む。08年校長を退職。大阪府知事特別顧問、東京学芸大学客員教授。著書に『「ビミョーな未来」をどう生きるか』(筑摩書房)など。

山内太地=インタビュー・構成

 
 

小さいころから
なりたい職業を決めさせるべき?


山内 藤原先生の子供時代は、「好き」で大学や職業を選ぶというような価値観はなかったですよね。

藤原 僕の場合は、何となく競争しろという社会のレールに乗って、とりあえず東大に入っちゃったからね。就職してからも30歳ぐらいまでは、これからどうするかなんてあまり考えてこなかったというのが本音です。でも今の子供たちの時代は違うと思いますよ。

山内 どう違うのですか?

藤原 僕を含め、今の親の世代には、よい大学に入れば一流企業に入ることができ、幸せになれるという「成功モデル」があった。しかしもはや、そのモデルは存在しない。個人がそれぞれの価値観で独自の幸せを追求する「成熟社会」に変わってしまったのです。

山内 そういう背景もあって、藤原先生は和田中学校に「よのなか」科を取り入れたんですね。中学生のうちから大人の社会と接点を持たせる取り組みをなさっていましたが、中学生のころから将来の職業を考えた進路選びは可能でしょうか?

藤原 職業選びは可能でしょうね。親がサポートしてやることもできると思いますよ。三つほど、考え方がある。
 一つは、使い古された言葉だけど、「親の背中を見せる」こと。親が仕事をしている姿を伝える。家で仕事をしている自営業ならわかりやすいですが、たとえ会社員で仕事の内容を子供に見せる機会がなくても、家庭での日常会話の中で、自分の仕事のやりがいや苦労話をして、社会人の先輩として子供に自分のありのままを伝える。専業主婦の方なら、社会の中で家庭を運営していることを、それとなく話すことです。子供は実によく親の姿を見ていますから、親と同じ職業を選ぶ子がいるのは、ある意味必然なんですよ。たとえ親と同じ職業を選ばなくても、親がどんな職業生活を送っているかというのは、子供に大きな影響を与えます。
 二つ目は、「好き嫌いで決めろ」ということですよ。これは女の子のほうが得意だけれども。好きという気持ちを素直に成長させて、美容師とか看護師になるとか。学生の場合は好きな街にある大学にするとか、あの学校の制服は嫌い、みたいに、はっきりしているわけです。そうした直感で決断してもいいと思います。
 三つ目、これが一番重要なんですが、親御さん自身が、成熟社会に変化しているという現実を認めることです。「成長社会」で生きてきた自分たちの時代の職業観を子供に押し付けないことです。


(続きは本誌をご覧ください)

 
 
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