人気の公立一貫校で一割が他高校へ。
内部進学で求められる「努力目標」とは
人気の公立中高一貫校の一つ、東京・千代田区立九段中等教育学校。その第一期生をめぐり、ちょっと気になるニュースが報じられた。一学年の定員160人のうち18人が、高校段階にあたる後期課程に進学せず、他高校への進学を選択したという。
保護者の立場からすれば、中高一貫教育を掲げている以上は6年間は面倒を見てくれるはずと思いがち。だが少なからぬ私立一貫校で、さまざまな理由から中途転学する例があることも、受験関係者の間では知られている。公立一貫校でも、内部進学できないことがありうるのか。
「学力不足を原因として後期課程への進学を拒むことはありません」と、九段中等教育学校の髙木克(まさる)校長は本誌に語った。
「たとえ成績が悪くても、頑張っている生徒は引っ張ってほしいと、各教員に指示しています」
後期課程に進むためにクリアしなければならないことがあるとは、髙木校長も認める。定期テストで各教科100点満点中少なくとも30~40点程度は取る努力をしてほしいこと、美術や家庭科の制作物を含め課題をきちんと出すことの2点だ。
「学校として当然のことを求めているだけです。この程度のことがクリアできないのであれば、後期課程に進んだとき単位が取れない可能性が高い。最低限の努力目標と考えています」
早期から教育相談を行ったものの指名補習にも出席しないなど、最終的にこのハードルをクリアできなかったのは転学者の3分の1弱。残りの生徒については、「個々の生徒のプライバシーに触れるため詳細は話せませんが、それぞれの事情に沿って相談を重ねた結果、他校への進学がベストだと保護者が判断したケースです。教育相談の対象となっても、当校に残って頑張る意思を示した生徒はすべて後期課程に進学しています」
とはいえ、都立一貫校の中途転学者が4校の合計で5人(その内訳も家庭の移転が主)だったのと比べれば、18人という数字はいかにも多い。入学者選抜において倍率が大きく違う区民枠と都民枠の設定など、同校特有の課題はあるものの、問題の根底にあるのは2006年度に中等教育学校としてスタートしたときの「最初のボタンの掛け違い」だと髙木校長は主張する。
九段中等教育学校は、文系・理系の区別を付けず全教科を履修し、実技系教科や総合的・横断的教育にも力を入れるなど、独自の教養教育型カリキュラムを採用している。将来のリーダーとして幅広い視野を養うためのポリシーだが、反面、公立小学校の延長でのんびりやりたい、あるいは効率よく大学受験教育をしてほしいといったニーズにはマッチしない学校ともいえる。開校初年度に、そのコンセプトが志願者や保護者に十分浸透していなかったきらいはある。
二期生以降は年ごとに、教育相談が必要なケースは急減しているという。いずれの一貫校でも言えることだが、親としては学校の教育方針がわが子に合うかどうかを受験前にじっくり検討し、かつ「入学さえすれば何とかしてくれる」という考えは捨てたほうがよさそうだ。
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