次に取るべき行動を
自分に言い聞かせよう

5回のつぶやき

 
 

[発達心理学の知恵]

人間は「自分の言葉」で、無意識に自己制御を行っている。


 
 

山本淳一先生
慶應義塾大学文学部心理学専攻教授。1956年東京都生まれ。共著に『できる!をのばす行動と学習の支援―応用行動分析によるポジティブ思考の特別支援教育』などがある。

木村俊介=文

 
 

やるべきことを「言ってみるだけ」で
やる気がみなぎる?


 私は、発達心理学の臨床研究として子供たちへの具体的な学習支援などを行っております。その観点で「脱・三日坊主」の方策を申しあげるなら、まず習慣化したいこと、やるべきことを「自分で声に出して、自分に向かって何回も話しかけてみる」ことを試してみるといいでしょう。

 人の言葉には2種類の機能があります。他人と意思疎通を図るための道具としての働きと、発声した言葉によって自身の行動を方向づけていくという働きです。つまり人間は自分の言葉で、無意識に自己制御を行っているのです。
 自分の声というのは、生まれてからこれまで、一番耳にしてきたものでしょう。他人の言葉は頭の中で考えたりしながら聞きますが、自分の声は特に意識して聞くことはありません。ただ、確実に、自分の行動に影響を与えています。
 ですから自分こそが自分の最大の聞き手であって、例えば単純に紙に書いた「○○をしよう」などの言葉を声に出してみただけで、本人はいつのまにかその行為をやってみたくなります。運動選手、営業部員のように、目標を口に出して言うことは、自らの行動を的確に方向付けるうえで役に立ちます。口に出す目標は、行動に対応させて、できるだけ細かく、具体的であるほうがよいでしょう。

「やりたいこと」「やるべきこと」を声に出して何回かつぶやいてみてください。その効果は臨床結果が裏づけています。
 言葉は、おもてに表れる大きな声を使う「外言」から、徐々に小さい声に移行させていきます。行動の前の発声の回数を5回とすると、段階を踏んで、かなり大きい声→大きい声→普通の声→小さい声→ボソボソ声、というように、最初は自分に聞かせて、次第に自分の内面に共振させるかのようにつぶやいていくというのが効果的でしょう。最後のボソボソ声は心理学用語で「内言(内的発話)」といわれ、頭の中に響かせるかのような言葉。それによって行動の自己調整が行われるという事実は、ヴィゴツキーという発達心理学者の研究で明らかにされています。

(続きは本誌をご覧ください)

 
 
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