≪中学受験≫
公立中高一貫校の難関化で
「選抜法見直し」は本当か
文部科学省は、今年度中に中央教育審議会で「中高一貫教育」の検証を始めることを決めた。
ある文科省幹部によると、焦点の一つは東京都品川区などで行われている小中一貫教育の試みを、正式に「義務教育学校」(仮称)として制度化するかどうか。もう一つが、1998年の学校教育法改正で制度化された中高一貫教育校の再検証だ(2008年時点で公立158校、私立172校、国立4校。昔からある国立や私立の附属校は必ずしも含まれない)。
政府の規制改革会議は昨年、一部の公立中高一貫校が受験エリート校化して私学の「民業」を圧迫していると批判。今年3月に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」にも、「公立の中高一貫教育に関する問題点の是正」が盛り込まれた。
文科省の説明では、今回の検証はあくまで施行10年を迎えた「制度」が対象。しかし先の文科省幹部は、「限りなく学力検査に近い適性検査を行っている(一部公立の)入学者選抜が問題」と認める。
制度化当初、公立一貫校はある意味で「ゆとり教育」の理想を追求するものだった。高校受験のない6年間で柔軟なカリキュラムを提供し、総合的な学力を育てることがその使命。入学の際に学力検査を行わないと省令で定められ、作文や面接、適性検査で選抜を行ってきた。
中学受験熱の高い首都圏では、公立一貫校に定員の5倍から10倍以上の希望者が集まったが、適正検査の内容や遅めの試験日など「私立一貫校とは暗黙のすみ分けがあった」と、森上教育研究所の森上展安(のぶやす)代表は言う。その図式が崩れ始めたのは、千葉県のトップ校である県立千葉高校が中学校を併設した昨年度あたりからと同氏はみる。
一方で、「公立一貫校が庶民の進学ルートとして貴重な存在になりつつある中、進学校化をただ否定していいのか」とも、森上氏は指摘する。公立一貫校が新たな中学受験層を掘り起こしている側面もあり、一概に民業圧迫といえるかも疑問だ。「それより、同じ義務教育なのに私立中に行けば学費の5分の4は家計の負担で、公立なら全額公費負担という状況が妥当なのかといった、もっと根本的な問題を議論してほしいですね」(森上氏)。
公立一貫校をめぐる議論のゆくえに注目したい。









