巻頭エッセイ
子供も「いま」を生きている
高校時代は野球に没頭した。
県下ではトップクラスの進学校ではあったが
そもそも野球をやるために、僕はその高校を選んだからだ。
中学1年生のときに、その高校が県大会の決勝に進出した。
甲子園まであと1勝に迫ったのだ。
かっこよかった。
勉強もできるのに野球も強い。
憧れた。
だから僕はその高校に入学し、野球部に入部し、
甲子園を目指して坊主頭で毎日ボールを追いかけた。
当然、勉強は疎かになった。
成績ももちろん落ちた。
それでも野球漬けの高校生活が終わった後
一浪して早稲田大学に入り、法律を学び、
司法試験に合格して、僕は弁護士になった。
33歳になっていた。
高校時代には、野球部を途中で退部する仲間もいた。
大学受験のため、という理由だった。
だけど僕には、それを正しい選択だとは思えない。
野球を一生懸命にやり切って、
それから勉強を始めても、大学に合格することはできる。
少なくとも、野球をやっていたから受験に失敗し
その後の人生もうまくいかないなんてことは絶対にあり得ない。
野球を言い訳にしているだけだ。
野球に限ったことではない。
何かに夢中になったせいで
勉強ができなかったなんて言い訳をする人は
きっと何をやっても、やり遂げることができない人に違いない。
僕はそう思っている。
何より、子供は、将来の準備のために日々を過ごしているわけではない。
少年時代は、大人になったときのために、
さらには老後のために費やすものではないのだ。
子供にとってはその1日1日が人生そのものなのだ。
将来のために犠牲にしていいはずがない。
子供であっても「いま」を生きている。
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- <第一回>









