巻頭エッセイ
うちの夫婦は世間と違う?
長男はプロゴルファーを目指している。
大学では法律の勉強もしていたが
三年生のとき
プロゴルファーになりたいと言い出して
結局その道に進むことになった。
僕の友人の中には
「止めさせるべきだ。それが親の務めだ」
と叱責する者もいた。
リスクが大きい、というのである。
でも僕はといえば
叱責されたことにむしろ驚いていた。
そんなことは考えたことさえなかったのだ。
僕だけではない。僕たち夫婦は二人とも
プロゴルファーを目指す息子を応援こそすれ
止めさせることなど
思いつきもしなかったのである。
どうもうちの夫婦は世間とは
違うみたいだと、そのとき初めて思った。
カミさんとは大学時代に
ソフトボールサークルで知り合った。
野球部出身の僕からみても
グラブ捌きが巧みな女性だった。
大学を卒業して四国の実家に戻り
中学の先生になった彼女だったが
ほんの数カ月で僕のところに戻ってきた。
僕はといえばまだ司法試験の勉強中。
合格するかどうかもわからない。
それなのに僕のことを信じてくれたのだ。
強い女性だと思った。
司法試験に合格したのは結婚二年目。
彼女がいたから頑張れた
なんて、僕はちっとも思っていない。
僕はわがままなのだ。
結婚し、子供が生まれてからも
僕は好きなことばかりやってきた。
休日もろくに家にいなかったし
子供の面倒もあまりみなかった。
それでも夫婦喧嘩はほとんどしたことがない。
小言を言えば僕がカッとなることを
わかっているからだ。
一度だけ本気で彼女を怒らせたことがある。
あのときばかりは世の夫がやっていることに
僕も励んだ。
仕事が終わればまっすぐ家に帰り
休日にも家にいて子供と遊んだ。
実家に帰られては困ると思った。
だって、彼女が毎日一生懸命に作ってくれる
料理がとてもおいしいのだ。
僕のために(子供のためにが第一だとしても……)
あんなに愛情を込めて
料理を作ってくれる人は
世界に彼女しかいない。
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