アメリカンフットボール部 主将 教養学部4年 永田真之助
時間を守れ。社会で生きるためのルールだ
あの言葉あったから、いまの自分がある。
たとえ親がそばにいなくても、
諦めそうになったとき、
進む道に迷ったときには、
「そういえば……」と思い出した。
東大の伝統ある運動部を率いる彼らが
子供の頃から、言われ続けてきたことは?
●アメリカンフットボール部 主将
教養学部4年 永田真之助
兄には厳しかった父ですが、僕にはほとんど口出しすることはなく、何でも自由にやらせてくれました。中学受験も大学受験も、父は「受けろ」とは一度も言いませんでした。基本的には、円満で親密な父子関係です。
「お前の取りえは集中力だからな」
と、父はことあるごとに言いました。中学受験に合格したときも「やっぱり、お前には集中力があった」でした。乗せ上手な父に暗示をかけられたのか、勉強に疲れても、「俺には集中力があるんだ」と切り替えができましたし、浪人中も「お前は集中すれば大丈夫」といった言葉に助けられましたね。
父は、今もアメフトの試合は必ず見にくる親バカ的キャラなのですが、地雷がないわけではありません。
門限だけにはうるさいのです。それも半端ではない。絶対厳守が鉄則です。
高校当時の門限は夜10時。それを過ぎたら、家には入れてくれません。その頃よく仲間と麻雀をしました。それで、つい帰宅が遅くなる。恐る恐る「ただいま」と玄関をたたいても……。
「お前、門限守ってないから、出てろ」
何でだよ。俺だって友達との付き合いがあって、とか何とか。言い訳しても一切聞き入れない。とにかく、「家には入れん」のです。ほとぼりが冷めた頃、こっそり母が鍵を開けて……くれることもなし。そんな日は、「いいよ」と僕も半分開き直って玄関前のタイルの上で夜を明かしてしまうのです。
冬は、自宅の庭の倉庫からだしてきた寝袋の中で。それ以外の季節は、段ボールの上でごろ寝です。恥ずかしながら、そんな経験が10回近くあります。朝6時頃になると鍵が開き、僕が「昨日は本当にすいませんでした」と謝ると、父は怒りを引きずらずに「わかればいい」という顔をしている。
自由奔放な子育てだった父がなぜ、ここまで「時間を守れ」と厳格なのか。あるとき父は僕に言いました。
「時間は、社会に出たときに最低限守らなきゃいけないルールだろう」
今思えば、この不文律こそが人間関係の基本。また仕事でも人との待ち合わせや納期を守ってこそ信頼される。時間を守ることさえできれば、どうにか社会で生きていける。そんなことを父は示唆していたのかもしれません。
事情があって門限に遅れる場合は、「事前連絡するのが筋」というのも父の口癖。だから電話を入れればいいのですが、これが意外とできなくて。結局、何度も地雷を踏んでしまいました。
門限というルールは、父が僕にマンツーマンで教えてくれた社会勉強なのかもしれません。おかげで、今では、時間を守ろうという気持ちが人よりも強くなったと思います。









