巻頭エッセイ
小学生を絶賛、中学生に失望
日本の子供たちのプレーを初めて見たアルゼンチンのコーチは
その素晴らしさに目を見張る。
「アルゼンチンに連れて帰りたい」とまで絶賛を受けることも珍しくない。
サッカー強国である彼らから見ても日本の小学生たちは魅力的で、
ダイヤモンドの原石に映るのである。
ところが、そんな小学生たちが成長し
中学生になった姿を見た途端、絶賛は失望に変わる。
あれほどまでに輝いていた子供たちが
「みんな同じ」になってしまっているというのである。
いかにも日本的な弊害だと思う。
日本の教育は減点主義だ。
学校では欠点の修正ばかりに目が行きがちで長所を伸ばすことができない。
結果子供たちの個性は削ぎ落とされてしまう。
サッカーで起きていることもまったく同じだ。
指導を受ければ受けるほど長所や個性が失われ
こぢんまりとした無難な選手ばかりになってしまう。
しかもリスクを冒すことを恐れ、シュートを打とうとしない。
だからストライカーが育たない。
でも考えてみれば当然のことだ。
そもそも日本の社会がそういう社会なのだ。
個性的に振る舞えば居場所を失う。
出過ぎた杭はみんなに叩かれる。
つまり個性的に生きることを受け入れる社会ではないのだ。
教育は、そんな社会の鏡にすぎない。
子供の世界だって、そうだ。
はみ出せばいじめられる。
同調圧力の下で、自ら防衛本能を働かせ
個性を殺そうとしても不思議ではない。
だが、これからは世界と戦わなければならない時代になる。
個性のある人材を育てなければ、
サッカーでもビジネスでも通用しなくなってしまう。
この国の未来を考えるなら、やっぱり教育を変えなければならない。
そして教育を変えるには、まずは社会を変えなければならない。
もちろん容易なことではない。
でも子供たちが生き生きと輝ける未来をつくるのは大人の責務だ。
少なくとも「学校が」「親が」「地域が」と
押し付け合いをしている場合ではない。
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