▼本当に賢い子は「迂回脳」を持っている
テストの成績と脳の間にはどんな関係があるか、
今からでも「賢い脳」にできるのか、
わが子の隠れた才能を見抜く方法はあるのか──。
最新の脳医学研究が明らかにした
子供の長所を伸ばし弱点を克服する方法と
隠れた素質を見抜くための秘訣とは。
POINT1
本当に賢い子は「迂回脳」を持っている
「頭のいい子」の脳は
どこが違うのか
就学前の子供が大人顔負けにおしゃべりしたり、字を覚えたり、足し算ができるようになれば、「頭の出来がいい子かも」と期待したくなります。学校に入ってからは成績で一喜一憂させられる。しかし親として注意してほしいのは、頭の良し悪しというのは、必ずしも勉強の出来不出来や、学業成績だけでは推し量れないということです。
脳科学的に言えば、頭の良し悪しは、脳の成長・発達にかかっています。脳の機能が発達している子供は、間違いなく賢い子といえます。では脳が成長・発達するとはどういうことでしょうか?
脳全体の80%を占めているのは大脳ですが、その構造は神経細胞が集まっている「皮質」と神経線維が集まっている「白質」の二つに分けられます。皮質は大脳における思考の中枢と考えられている場所で、その皮質と皮質を結んで情報を運ぶ、いわばネットワークの役割を担っているのが白質です。
脳の成長・発達とは、この皮質と白質が成長・発達することにほかなりません。
皮質にある神経細胞は、互いに似たもの同士が寄り集まって区分を作り、脳の機能を分担しています。
下図は、脳の形と機能から私が考案した脳の区分です。左脳と右脳で合わせて約120に区分し、これを「脳番地」と定義しました。運動系脳番地、聴覚系脳番地、言語系脳番地、感情系脳番地、思考系脳番地など、機能ごとにいくつかの系統があります。
人はこれらの脳番地をネットワークしながら活動している。わかりやすい例で言えば、他人の話を聞く際に、聴覚系脳番地や視覚系脳番地で情報を受け取り、感情系脳番地や思考系脳番地で情報を処理して、言語系脳番地を使って言葉を発したり、運動系番地でリアクションを取っているわけです。
皮質の脳番地を形成している細胞群が整えられ、脳番地の下につながっている白質繊維が伸びて縦横無尽にネットワークをつくってゆく。形成されたネットワークは何度も使われることでどんどん太くなり、その先につながっている脳番地も発達する――。脳が成長・発達するとはそういうことです。

もともと持っている潜在能力や特定の脳番地が発達する素因は、親から子への遺伝による影響もあります。しかし、脳の成長はDNAだけでは決まりません。私の研究によれば、生まれてからの家庭環境や学習環境などの環境要因が非常に大きいのです。たとえば同じ10歳の子が集まったクラスでも、ある脳番地が平均以上に発達している子もいれば、発達が遅めの子もいる。特にその年代の脳は基礎固めの発育途上にあり、脳番地の発達に大きな個体差があります。
残念ながら家庭や学校では、そうした個体差が「賢い子」と「そうでない子」の認知につながっているように思えます。先生や親の話がよく理解できたり、言葉が達者であれば、やはり賢く見える。そういう子供は言語系脳番地が発達している、つまり言語脳が賢い子です。しかし、運動系脳番地が発達してスポーツが得意な子もいれば、視覚系脳番地が発達して絵が上手な子もいる。脳科学の観点からは、そういう子も「賢い子」なのです。
(……続きは本誌をご覧ください)
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