▼ほうれん草で噛む力がつく

 
 
小島由紀子=文
 
 

 

 食の欧米化により、やわらかいものばかり食べるようになり、日本人は噛む力が弱くなったといわれるが、食べ物は、噛む習慣をつけるのにも大事な役割を果たす。では、とにかく堅い食べ物を子供の食事に取り入れるのがよいのだろうか。
「堅い食べ物を噛むと歯が丈夫になるといいますが、せんべいのように、堅くても一瞬でパリンと割れてすぐ噛み終わるものは意味がありません。やわらかくても、ほうれん草のおひたしを食べるほうが効果的です。繊維が豊富で、噛みちぎりにくいので、ある程度の時間をかけて噛んだりすり潰したり、咀嚼筋と歯を非常によく使います。玄米やライ麦パンなど、噛みごたえのある食べ物もいいですね」(昭和大学歯学部・槇宏太郎教授)
 咀嚼筋を鍛えると、あごの骨が密になり、そこから生えている歯も丈夫になる。安定した土台(あご)には頑丈な家(歯)が建つというわけだ。
「よく噛むと、子供の表情も豊かになります。咀嚼筋の上に表情筋がついているので、同時に顔の筋肉も鍛えられます。良い機能は良い形態をもたらすものです」(槇先生)
 ただし、一口の分量は少なめにしよう。口いっぱいに詰め込むと、うまく噛めずに、ついつい水やお茶で流しこんでしまいがちだ。
「よく噛めば、その刺激によって唾液も増え、唾液の緩衝作用(酸性に傾いた環境を中和させる働き)も強くなります。ただ最近は、食習慣の乱れやストレス で、唾液が少なく、喉の渇きを訴える子供も増えているようです。耳のすぐ下や喉の脇のほうにある唾液腺(耳下腺、顎下腺)をマッサージすると唾液が出ることを、教えてあげてください」(昭和大学歯学部・井上美津子教授)

 

 
 
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