最もまずい与え方も教えます
「お母さん、あれ買って!」
子供のおねだり、上手な拒み方
手替え品替えやってくる、わが子のおねだり。
成長するにつれ巧みになるテキの作戦をどうかわすか。
あるいは、どういうケースなら受容していいのか。
「子供のお金教育を考える会」代表のあんびるえつこ氏に
その賢い対処法を聞いてみた。
子供のおねだりにどう対処するかは、親にとって頭の痛い問題です。しかし見方を変えれば、わが子がおねだりをしてきたときは大きなチャンスでもあります。なぜなら、おねだりへの対応を通じて、親は子供に自分の価値観を伝えることができるからです。
たとえば、市販の駄菓子を子供が欲しがったとしましょう。添加物がいろいろ入っていそうで、あまり与えたくないと感じたら、「ダメ。体に悪いから」と応じないでしょう。「○○ちゃんは買ってもらってるよ」と言われて、「そう、でもうちはダメなの」と言い返したり……。
あるものに対して希望を認められ、別なものに対してダメと言われることで、子供は親の判断基準を知り、その価値観を身につけていきます。大切にすべきことは何か、ここだけは譲れないという線をどこに引くか――こうした価値観の伝達は、親にしかできない仕事だと私は考えます。
同時におねだりへの対応は、自分の欲望をどうコントロールするかを子供に学ばせる機会でもあります。「欲しい!」という気持ちと現実との間で、どう折り合いをつけるか。おねだりする子供との交渉は親にとっては骨が折れるプロセスかもしれませんが、大事な人間教育をしているのだと考えて、腰を据えてコミュニケーションをとっていただければと思います。
子供がおねだりのときに使う殺し文句は、「みんな持ってるよ」という一言です。親も「うちの子だけ持ってないのはかわいそう」「仲間外れにされるのでは」とつい考えがちですが、こう言われたときにはまず「あなたはなぜ欲しいの?」と問い返してみましょう。
人と同じでないことは、決してかわいそうなことではありません。そういう理由でものを買い与える親は、「自分はどうしてこれが欲しいと思うのか」「自分にとってこれは本当に必要なものなのか」を真剣に考える機会を、子供から奪うことになります。自分が本当に欲しいのかどうかもよくわからないまま買ってしまうのは、消費者として最も不幸な姿です。
たとえば子供自身が「みんなと同じゲーム機を持つことで、話の輪の中に入りたい」などと、自分なりの理由をはっきり言えたなら、買ってあげるというのも一つの判断でしょう。とはいえ、ゲーム機を持っていなければ友達が作れないなどということは、実際にはありません。私は小学5年生の息子に一切ゲームをさせていませんが、彼にもちゃんと友達はいますよ。
もう少し高度なおねだりの戦術は、「今度のテストで何点とったら、あれを買って」とか、「お手伝いしたら、これを買って」といった、頑張ったことへの対価を求めるものです。お母さんより、むしろ仕事などで成果主義に慣れているお父さんに対してよく効く手かもしれません。
しかし、ビジネスライクな成果主義を家庭にまで持ち込むことには問題があります。家庭は仕事や学校で疲れた体や心を休める場所であり、よい意味での曖昧さや、見返りを求めない思いやりが必要だからです。「点数は上がらなかったけど、よく頑張ったね」と言えるのが家庭のよさ。「何でも仕事みたいにしちゃうと、家がくつろげない場所になっちゃうよ」と気づかせてはどうでしょう。
(……続きは本誌をご覧ください)
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