特集/診断!わが子の心の成長度
イェール大学の三賢人、EQの権威が力説
「今、どういう気持ち?」の問いが、知力をぐんと伸ばす
社会に出て必要ならば、子供のうちから身につけさせたい。
しかしはたして、親が子供にEQを教えてやれるのか。
EQを世に紹介し、今も研究の最先端にいる学者たちに聞いた。
それは明日からでもできる、ごく簡単なことだった。
EQという言葉をご存じだろうか。
Emotional Intelligence Quotientを短くしたもので、分解して和訳すると、「感情の・知能・指数」となるが、感情を上手に管理し、利用できる能力のことである。心の知能指数と呼ばれることもある。思いやりとか、気配りという意味にとられがちだが、実際には、もっと積極的に感情をコントロールし、対人関係や自分の行動に生かすというたぐいのものである。ここで強調しておくべきことは、EQはIQがイメージさせる先天的なものではなく、伸ばすことができる能力だということである。
EQが世界に広く知られたのは、1995年、ニューヨーク・タイムズ紙の記者であったダニエル・ゴールマンが『Emotional Intelligence』を書き、その直後、「TIME」誌が本書をベースにした特集を組み、大反響を呼んだからである。
「TIME」誌は、それまでEIと呼ばれていたものを、IQになぞらえて、EQと名づけた。そういうわけで、日本でのEQ創成期にバイブルとして読まれたゴールマンの『Emotional Intelligence』日本語版は、『EQ こころの知能指数』として上陸した。
誤解のないように言っておくが、EQを最初に提唱したのは、ゴールマンではない。二人のアメリカ人の学者である。彼らがEQを発見することとなったきっかけは、心理学の立場からビジネス社会の成功要因を突き止めようとしたことだった。二人が得た結論は、「ビジネスで成功した人は、ほぼ間違いなく対人関係能力に優れている」というものだ。そしてひとつの象徴的な数値を発表する。社会での成功要因は、EQが80%、IQが20%。
さて、ここで今、日本の子供たちが置かれた現状を考えてみる。
とかく、若者のコミュニケーション能力不足が叫ばれている。新入社員に、なぜ挨拶をしなくてはいけないか、から教えなければならないという悲鳴まで聞こえてくる。アカデミズムの世界からも、実業界からも異口同音に失望の言葉が若者に投げつけられている。
一方で、依然として学歴社会であることは変わらず、人生の選択肢を増やしたいということで、親子は共同戦線を張って、それぞれの家庭が望む教育が受けられる学校、伝統のある学校、偏差値の高い学校を目指すことになる。
IQだけではまかり通らない社会が待ち受けていることは知りながら、親は学力ばかりを期待することになる。そこに矛盾を感じる賢明な親は少なくない。
ただ、社会で求められるIQ以外の何かがはっきりしているわけではないし、はっきりとしていないものを子供に教えることもできない。
そこで、本誌はEQを手がかりにして、その「はっきりしないもの」をできるだけ明確にする難問に挑むことにした。EQを最初に提唱した二人の学者に会い、子供にとってのEQとは何か、EQを伸ばしてやる方法はあるのかを直接聞こうというわけだ。
その二人の学者とは、イェール大学のピーター・サロベイ教授と、ニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー教授である。
(……続きは本誌をご覧ください)
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