特集/診断!わが子の心の成長度

イェール大学の三賢人、EQの権威が力説

「今、どういう気持ち?」の問いが、知力をぐんと伸ばす

 
 
ビジネスシーンでよく耳にする「EQ」。
社会に出て必要ならば、子供のうちから身につけさせたい。
しかしはたして、親が子供にEQを教えてやれるのか。
EQを世に紹介し、今も研究の最先端にいる学者たちに聞いた。
それは明日からでもできる、ごく簡単なことだった。
 
 

Peter Salovey
●ピーター・サロベイ
スタンフォード大学大学院修士課程修了。イェール大学大学院にて心理学修士、哲学修士、同博士号を取得。1986年よりイェール大学で教鞭をとる。現在、同大学のカレッジ長。研究テーマは、人間の気分と感情の心理学的意義と働きなど。共著に『EQマネージャー』。EQジャパンの顧問も務める。

David R.Caruso
●デイビッド・R・カルーソ
ケース・ウェスタン・リザーブ大学大学院で心理学博士号を取得。イェール大学で発達心理学の研究員として働いた後、企業の市場調査、戦略立案などにかかわる。1993年にコンサルティング会社を設立。現在は経営コンサルタントとして活躍し、知能やEQの分野で数多くの研究論文を発表している。

Marc Brachett
●マーク・ブラケット
ニューハンプシャー大学大学院で心理学博士号を取得。ジョン・メイヤー教授の生徒であった。
現在、サロベイ教授の研究室で研究員として働いている。専門は子供のEQ。数々の学校関係の出版物の執筆、編集に携わる。著書に『Emotional Literacy in the middle school』など。

Jhon Mayer
●ジョン・メイヤー
ミシガン大学を卒業後、ケース・ウェスタン・リザーブ大学大学院で、心理学博士号を取得。専門は、人格心理学とEQ。1989年よりニューハンプシャー大学で教鞭をとる。数々の心理学関係の雑誌の編集に携わる。共著に『エモーショナル・インテリジェンス』。EQジャパンの顧問も務める。


撮影・文=田中克佳
たなか・かつよし●ニューヨーク在住のフォトジャーナリスト。1993年に渡米後、様々な社会問題を取材したフォト・ドキュメンタリー作品を発表している。

 
 

 EQという言葉をご存じだろうか。
 Emotional Intelligence Quotientを短くしたもので、分解して和訳すると、「感情の・知能・指数」となるが、感情を上手に管理し、利用できる能力のことである。心の知能指数と呼ばれることもある。思いやりとか、気配りという意味にとられがちだが、実際には、もっと積極的に感情をコントロールし、対人関係や自分の行動に生かすというたぐいのものである。ここで強調しておくべきことは、EQはIQがイメージさせる先天的なものではなく、伸ばすことができる能力だということである。
 EQが世界に広く知られたのは、1995年、ニューヨーク・タイムズ紙の記者であったダニエル・ゴールマンが『Emotional Intelligence』を書き、その直後、「TIME」誌が本書をベースにした特集を組み、大反響を呼んだからである。
 「TIME」誌は、それまでEIと呼ばれていたものを、IQになぞらえて、EQと名づけた。そういうわけで、日本でのEQ創成期にバイブルとして読まれたゴールマンの『Emotional Intelligence』日本語版は、『EQ こころの知能指数』として上陸した。
 誤解のないように言っておくが、EQを最初に提唱したのは、ゴールマンではない。二人のアメリカ人の学者である。彼らがEQを発見することとなったきっかけは、心理学の立場からビジネス社会の成功要因を突き止めようとしたことだった。二人が得た結論は、「ビジネスで成功した人は、ほぼ間違いなく対人関係能力に優れている」というものだ。そしてひとつの象徴的な数値を発表する。社会での成功要因は、EQが80%、IQが20%。
 さて、ここで今、日本の子供たちが置かれた現状を考えてみる。
 とかく、若者のコミュニケーション能力不足が叫ばれている。新入社員に、なぜ挨拶をしなくてはいけないか、から教えなければならないという悲鳴まで聞こえてくる。アカデミズムの世界からも、実業界からも異口同音に失望の言葉が若者に投げつけられている。
 一方で、依然として学歴社会であることは変わらず、人生の選択肢を増やしたいということで、親子は共同戦線を張って、それぞれの家庭が望む教育が受けられる学校、伝統のある学校、偏差値の高い学校を目指すことになる。
 IQだけではまかり通らない社会が待ち受けていることは知りながら、親は学力ばかりを期待することになる。そこに矛盾を感じる賢明な親は少なくない。
 ただ、社会で求められるIQ以外の何かがはっきりしているわけではないし、はっきりとしていないものを子供に教えることもできない。
 そこで、本誌はEQを手がかりにして、その「はっきりしないもの」をできるだけ明確にする難問に挑むことにした。EQを最初に提唱した二人の学者に会い、子供にとってのEQとは何か、EQを伸ばしてやる方法はあるのかを直接聞こうというわけだ。
 その二人の学者とは、イェール大学のピーター・サロベイ教授と、ニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー教授である。

(……続きは本誌をご覧ください)

 
 
プレジデントファミリー 2008年7月号
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