普段は言えない「家族」への言葉

結婚3年目のすれ違い

 
 
サイボウズ社長
青野慶久
1971年生まれ、愛媛県出身。本名、西端慶久。94年、大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工に入社。96年、子会社のヴイ・インターネットオペレーションズ設立に参加。同社での経験を生かして、97年、松山市にサイボウズを設立、副社長に就任。マーケティング担当としてWebグループウエア市場の開拓に尽力。2005年、同社社長に就任。結婚は01年。同時に夫人の西端姓となる。ママチャリ通勤、ジャンクフード好きは有名。自称「パソコンおたく」。
太田さとし=構成 遠藤素子=撮影
 
 

 僕は、結婚を機に嫁の姓に変えました。特別な理由はなくて、彼女が「姓を変えたくない」と言ったから。仕事は旧姓の青野で通せばいいし、二つの姓があれば便利に使えるんじゃないかという割と軽いのりでした。思った以上に面倒なことが多くて、当初はちょっと後悔もしましたけど(笑)。学生時代から知っていた彼女は、いつも隣にいる存在で、自然の流れで結婚していましたね。

 そんな彼女とすれ違うようになったのは、結婚三年目。会社が大きくなって社会からも認知され、僕も若手起業家の一人として脚光を浴びるようになっていた。彼女も喜んでいるだろうと思っていたんですが、「あなたばかりうまくいって、私はなんなの?」という思いがあったみたいです。家の中がギスギスして、ケンカも増えて……。専業主婦だった彼女は働き始めて、やがて学校に行ったり、資格を片っ端から取ったり、自分探しを始めたんです。最終的に福祉系の専門学校に通い、手話の道に進みました。彼女の中で何かを見つけたのでしょう。今は生き生きしています。そんな彼女を見て、素敵だなと思います。

 僕たちは性格がぜんぜん違うんです。僕は基本的に神経質で、彼女はアバウト。共通の趣味もありません。でも、一緒にいると知らない世界を見せてくれる。コンピュータのこともまったく知らない彼女は、僕にとってはかえって新鮮だし、それがサンプルになることも。掃除は好きだけど洗濯が嫌いな僕と、掃除が嫌いで洗濯好きな彼女で、家事も都合よく分担できている。

 衝突することも多いけれど、いまだに新鮮な発見もあります。依存するのではなく、互いに刺激を与え合える関係でいることが、うまくいっている秘訣かな。そう思っているのは僕だけかもしれませんが(笑)。

 
 
プレジデントファミリー 2008年1月号
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