勉強だけでは社会の役に立ちません
お茶の水女子大教授陣が説く! わが子を伸ばす親の鉄則 7

内田伸子教授の知性もモラルも伸ばす方法

 
 
ただただ元気に、素直に育ってくれればいい。そんな気持ちでいたはず。
なのに、子供がすこし大きくなった今、
あなたもあなたのパートナーも、子どもに違うものを求めてはいませんか。
知らず知らずのうちにあなたたちが見失った何かを取り戻す、
そんな機会を作ってみませんか。「お茶ノ水しつけ講座」、本日開講します。
 
 
内田伸子 =談

うちだ・のぶこ 大学理事・副学長(兼担:大学院人間文化創成科学研究科教授)。1946年、群馬県生まれ。お茶 の水女子大学大学院人文科学研究科修了。学術博士。専門は発達心理学、認知心理学。小児科医の娘とはEメールで会話することも。趣味は演劇・映画鑑賞。著 書に『子どもの文章』(東大出版会)、『発達心理学』(岩波書店)など。


長尾康子 =構成
 
 

この大学には、よく考え、よく勉強する学生が多く、彼女たちの若々しいエネルギーに助けられ、幸せな教師生活を送っていま す。しかし、この頃、良くも悪くも今の学生たちは、私がここで学生だった頃に比べて、ずいぶん違っているなと感じさせられることが多くなりました。前の時 間の黒板の文字が残されていたり、机に食べ終わったパンの袋やペットボトルが放置されていたり……。見るたびにやりきれない気持ちになるのです。どうも、 知性とモラルがアンバランスなのではないのか、と。

 非常勤で出かける他大学のキャンパスでも同じ状況を目にします。こうしてみると、私のところの学生が特別というわけでなく、今の若い人たちの一般的な傾向なのかもしれません。

 ごみはごみ箱へ、みんなで使うものは大事にする、などということは暮らしのなかでごく基本的なこととして、守らなければならないことのように思われま す。ところが、街の人々の姿を見ると、大人たちがこうした基本的なことが身についていないふるまい方をしているのです。それを見ている子どもたちが同じふ るまいをするのは当然でしょう。こうしたことは家庭で親たちがモデルを示せば、自然と身についていくのに。そんなふうに私は思うのです。

 こうした基本的なことが身につくかどうかは、人間として歩みだす時期、自我が芽生え、他者との関係を意識しはじめる2歳頃からの、身近な大人たちの接し方にかかっているように思うのです。

 模範になるような子育てをしてこなかったこの私が子育てについて何か言うなんて、気がひけてしまいます。しかし、こんな私でも、ひとつだけ、こころが け、実行してきたことがあります。それは、娘に対して、幼い赤ちゃんの頃から一人の人として敬意を払い、大人に対するのと同じように、いやそれ以上に、そ の人格を大事にしてきたつもりです。より高きもの、より美しきものを独り占めするのでなく、彼女と共有したいと願い、実行してきたように思うのです。

 今は子どもが少なくなり、子どもにとっては豊かな環境になるはずなのに、実状は逆で、子どもの育つ環境は子どもにとって決して幸せなものではないように 感じられてなりません。「子どものため」を錦の御旗に掲げて、早期教育に子どもを駆り立てるお母さん、子どもを自分の思い通りに支配しようと子どもに手を 上げると止められなくなってしまうお母さん……。こうした状況は子どもに接する人々の子どもの生理や心理の発達に対する無理解から引き起こされているよう に思うのです。

(……続きは本誌をご覧ください)

 
 

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