計算をして妖怪を倒せ!遊びながら「暗算力」が鍛えられるアプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第7回】 〜古河市立上大野小学校 薄井直之 先生〜

あんざんマンと一緒に妖怪退治をすることで、いつのまにか計算力UP
正しい答えを選んで敵を倒そう。スピードと正確さが攻略の鍵
「おに」レベルは数字を入れ替えて正しい2つの等式を作る問題。高度な計算力が鍛えられる
ダイナミックなアニメーションとBGMがワクワク感を演出
ステージクリアでもらえる「算ストーン」を貯めて新たな忍術をゲット
アプリ紹介者の薄井先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

キャラクターの名前や攻略法、ゲームとなると子供ってスゴい学習能力を発揮しますよね。「この力を勉強にも使ってくれたら……」

こんなぼやきを口にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実はゲームの手法を他の分野で応用することを「ゲーミフィケーション」といって、教育分野での活用も期待されています。今回は、ゲーム感覚で計算力が鍛えられる、ゲーム好きの子にぴったりのアプリをご紹介します。

あんざんマンと算ストーン:小学生算数(無料) ※完全版は360円

身に付く力:計算力判断力集中力

このアプリを推薦してくれたのは、茨城県にある古河市立上大野小学校の薄井直之先生。上大野小学校は、公立の小学校でありながら、すでに全児童が1人1台のiPadを持ち、授業の内外で活用している先進的な学校です。また薄井先生は、市内の学校でのICT活用を進める伝道師「古河市ICTエバンジェリスト」としても活躍されています。

おすすめポイントは、ずばりゲーム感覚で学べるところ。「アニメーションが楽しく、足し算、引き算、掛け算、割り算の計算練習をすることができます。“算ストーン”を集めて新しい忍術を覚えたり、倒した妖怪を図鑑に記録することができたりと、やりこむほどに楽しめるアプリです。難易度の設定もできるので、ぜひ親子で競争してみてください」。これから上大野小学校のiPadにもこのアプリを導入したいと薄井先生は考えているとのことです。

アプリを起動すると、草むらを颯爽と走るあんざんマンとあんざんロボが登場。アニメーションやBGMがとても凝っていてオープニングからワクワクさせられます。このあんざんマン、“忍術”ではなく“算術”が得意な忍者という設定。算数力を武器に、あんざんマンたちと一緒に妖怪退治の旅を進めていきます。

このアプリでは、「たし算」「ひき算」「かけ算」「わり算」そして「ミックス」の5つのモードが用意されていて、「たし算」「ひき算」は無料版でもプレイすることができます。また各モードには難易度別に3つのレベル設定があり、「ふつう」「むずかしい」「おに」の3種類から選択します。

「ふつう」レベルでは、〔4〕+〔9〕=〔?〕といった問題と、回答の選択肢が4つ出てくるので、正しい答えを選びます。まちがった答えを選ぶと、ライフ(★)が減っていき、ステージ内で4回まちがえるとゲームオーバー。途中で「クセモン」が現れたり、大きくなった「クセモン」にあんざんロボで対抗したりしながら、最終的に必殺技の「暗斬」でラスボスをやっつけるとステージクリアとなります。

「むずかしい」レベルでは、〔?〕+〔?〕=〔?〕といったように、答えだけでなく式に入る数も選んで等式を作る問題です。答えが1つではない出題形式は計算のセンスが鍛えられます。さらに、難易度の高い「おに」レベルになると、上下に2つ並んだ式の数字を入れ替え、正しい式にするという出題形式になります。複数の式の答えを同時に考える、高度な力が問われます。

ステージをクリアすると難易度やタイムによって「算ストーン」がもらえます。ショップ(にんじゅつショップ)に行って、集めた「算ストーン」を忍術に交換するのも楽しみの1つ。また、新種の「クセモン」を発見することで、図鑑(クセモンずかん)を埋めていくなど、子供の遊び心をくすぐるしかけや演出があちこちに用意されています。

計算練習というと、無機質な問題をくり返し“解かされる”イメージをお持ちではないでしょうか。これでは楽しくありませんし、すすんで自分からやろうとする子はなかなかいません。もちろん、筆算など紙で計算するスキルは必要ですが、まずは「計算は得意」「算数大好き」という土台を育てることが大切です。小学校の先生がおすすめする計算アプリ。ぜひ一度、お子さんと一緒に遊んでみてください。

【紹介者プロフィール】

薄井直之 先生(古河市立上大野小学校)

茨城大学教育学部を卒業後、平成24年度より茨城県古河市立上大野小学校に勤務。現在は、同校の研究主任を務め、児童の表現力の向上を目指している。平成27年度より古河市ICTエバンジェリストに任命。ICT機器を有効に活用した授業実践に取り組む。平成28年度からは第42回パナソニック教育財団特別研究指定校として、児童のプレゼンテーション力向上を図る実践にも取り組んでいる。

【筆者プロフィール】

小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。