築地直送! 今月の旬&日常のおかずレシピ [2]
セレブないかに負けない
旨いワタがあるからエライ!
するめいか
するめいかは、河岸においては肩身がちと狭い。あおりいかやら、しろいかやらと、料理人さんの目がいくのは高級いか。
「スーパーの特売で、一杯200円しないするめいかじゃ、“おあし”はそんなにいただけないし」ってことでしょうか。
しかしながらするめいか、セレブないかたちがマイッタ! と頭を下げるような、すごい秘密兵器を内蔵しとる。
するめいかの足を、だましだまし微妙な力加減で引き抜くと、内臓もスルリとついてくる。そこには茶がかったオレンジ色の大きなワタ(肝)。これですよ。
「大間の鮪がうまいのは、ワタのでっかいするめいかをしこたま食ってるから」と、河岸でよく耳にする。
大間の鮪が脂がのってうまい理由は、きっとほかにも多々あれど、私には、この話がいちばんに説得力がある。するめいかのワタときたら、つやつやとはち切れんばかり。見るからに栄養ありそうだ。
確かにするめいかと大間の鮪、ともに行動範囲は似通っているふしがある。
するめいかの寿命は1年。九州南西部の海に産まれると、一路、成長しながら北の海をめざす。春の連休を過ぎると、手のひらサイズのちっこいヤツが入荷。麦刈りの時期にあたるので「麦いか」と呼ばれるが、北上中、捕らわれの身となったヤツたちだ。その麦いか入荷を追うように、河岸は三陸や山陰地方などからの生鮪で賑わう。彼らも北への途上の身であった。
両者の入荷から、私は海を思い浮かべる。彼らの仲間が、追いつ追われつ、潮にのり、餌の豊富な津軽海峡をめざす姿を。河岸は海に離れているが、入荷状況で魚の動向が透けて見える。そんな面白さがある。
さてするめいかのワタ。利用法としては、塩辛が有名だけど、時間をかけて発酵させるとか、そんな手間は抜きにしておいしい。脂があって、濃厚な味わい。大間の鮪は、そこんとこ知ってるんでしょうねぇ。
トロリつぶせば、すばらしいソース。私、するめいかを刺し身にするとき、このワタをソースにしなくちゃ物足りぬ。するめいかは、ワタといっしょに食べてこそ。
ワタは、加熱しても美味だ。たとえばワタ焼き。ゲソもエンペラも、身のすべてをガッと炒め、そこにワタをからませたら、もはやこむずかしい調味料なぞ出る幕なしで、微妙複雑な味加減になる。
お二人様で、するめいか大きめ1杯。身のいいとこは、いか素麺なぞにして、残るはエンペラにゲソ、そしてワタ。ホホホのホで、この残りものにこそ福ありで、焼き飯にする。ゲソやエンペラは刻んで具。飯を炒めて、仕上げにワタを入れ、飯がワタにまみれたら一丁あがり。いか独特の香りよし。肉を使ったごときの食べ応えがある。
先日、スーパーのチラシを見てたら、目玉商品に刺し身用するめいかが一杯100円也。ワンコインで2品! 大間の鮪に負けじと、たんとお召し上がりくださいな。
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