 |
「喜楽鮨」の名物“白身づくし”。その時季、築地に入る最上の天然物の白身が8カン並ぶ。写真は前列左から、クエ、カレイ、オニカサゴ、コチ、後列左からホウボウ、オコゼ、アイナメ、肝をのせたカワハギ。 |
──最初に名物の“白身”のことを。旨い寿司店は当然、白身にこだわるものですが、「喜楽鮨」さんはとりわけ凄い。常時8〜10種類、それもすべて天然物の上物ばかり。何か特別な理由があるのでしょうか?
「先代からの伝統ですね。先代が初めて店を構えたのは昭和29年、とにかくネタに厳しい人で、『魚は鮮度だ』『正直なものは白身だ』と口癖のように言ってました。『正直』というのは、白身はごまかしが利かない、ネタや鮮度の良し悪しが一目瞭然という意味でね。店を開けた当初は、店先に生け簀を置いていたくらい。今でこそ河岸で海水を分けてもらえるけれど、当時はそうはいかないから、僕らが海まで海水を汲みに行かされるんだ(笑)。それも近場じゃ海が汚いからと、大磯の海までよく海水を汲みに行かされましたよ。
それくらいの人だったから、うちが白身をはじめネタにうるさいのは河岸でも知られていて、お陰様で今もいい魚を探してくれる仲卸とは50年来の付き合いです」
──いい魚が入ったら、次は“いい仕事”ですか?
「そうそう。ただ、そこで大切なのがネタ・ケースでね。最近は、ケースの内側に細いパイプが回ってるヤツ、冷却ガスを使ってる店がずいぶん増えたでしょ。あれは魚にとっていいとは言えないね。うちのネタ・ケースは今も氷で冷やしてますよ。とにかく魚をおろしたら、マイナスでしっかり締めた氷にのせるのが鮮度を保つ一番の秘訣。それだけは昔も今も変わらないね」
 | 白身の握りには醤油はもちろんだが、塩もお薦め。白身に数粒ふって食べると、ネタの個性がより感じられる。「喜楽鮨」では常時フランス・ゲランド産のフルール・ド・セルを用意。一声かければ、すぐ出してくれる。 |