スーパードライ「至上の一皿」22
東京・上野「鰻弁慶」

江戸前「鰻」話

 
 

SUPER DRY
鰻至上の一皿22
鰻編
BACK NUMBER


雨宮次男さん江戸前「鰻」話



鰻も人間と同じ。水が違うと身質も顔つきも違う。

素焼き

江戸前の仕事では、裂いて竹串を打った鰻をまず素焼き(しらやき)にする。うちわで扇ぎながら、串をもってぐるぐると目まぐるしく返していく。「昔から素焼きは『手返し百遍』といってね。返して、返して焼いていく。これが本焼きになったら、あまり返さない。焼き具合がばらつかず、平均的に色がつくように位置を変える程度ですね」(雨宮さん)。

「自分がこの世界に入ったのは38年前。その頃から比べると、鰻の仕事も変わりましたね。一番変わったのは、鰻自体。昔はそこそこいい鰻屋が仕入れるのは、だいたい1キロ6本と小ぶりでね。今はうちあたりでも1キロ5本。なぜかといえば、昔の鰻は今よりずっと脂が強かった。今は養鰻に時間をかけて少しずつ脂がのってくる、そういう鰻が増えてきたから、ちょっと太いくらいじゃないと、蒸してるときに脂の抜けが早いんです。そうねえ、同じサイズの鰻なら、昔と今とじゃ蒸し時間が半分くらいになってるね。
 もちろん、今も昔もいい鰻を選ばなきゃ、旨い蒲焼きができないのは同じです。うちが使っているのは、静岡県の吉田の鰻が多いね。吉田の鰻というのは昔から皮が多少硬い。職人にとっては扱いづらいんだけど、食べると味はいいんですよ。やっぱり、水がいいと鰻が全然違うね。そこら辺は人間と同じで、水が違うと顔つきも身質も変わってくるものなんです」

串打ち三年、裂き八年、焼きは一生。

タレをつける

本焼きでは、タレをつけては焼くという作業を3回繰り返す。このタレが、店個々の味をつくるもう一つの主役。「鰻屋のタレというのは、昔の家のぬか床みたいなもんです。モトダレがあって、継ぎ足し継ぎ足しで、年中、鰻を通していくことで味がなじんでくる。うちのモトダレも60年前からずっと受け継いでいる辛口のタレです」(雨宮さん)。

「昔から『串打ち三年、裂き八年、焼きは一生』といってね。江戸前の場合は、活鰻を背開きに裂いて竹串を打ち、素焼き(しらやき)をしてから蒸すという行程が入り、タレをつけて焼き上げる(本焼き)。これが単純だけど、技術と熟練が要る。
 うちあたり、本焼きはタレを3回つけて焼く。1回目は薄く色をつける。2回目でもう少し強く、色が固定するように焼く。3回目は炙って、タレが止まるように焼くだけなんです。タレが鰻について、照りがぐうっとのるようにね。そうやって、鰻に味を含ませるんです。
 たしかに“焼き”は一番奥が深いね。とはいえ、実際には全部の仕事が上手く運ばないと、旨い蒲焼きはできない。たとえば“裂き”は、専用の包丁を使って横に裂くんですけど、私らが若い頃は力を入れて裂くと親方に怒られた。鰻が嫌がって、力が入るから、身が痩せると。巧い人というのは、力を入れないですよ。鰻が痛いのわからないうちに、さっと裂いちゃう。それぐらいじゃないと上手くないね。“焼き一生”というのは、焼きは最後の仕上げだよ、気を抜くな、鰻の仕事は一生修業という意味だと思っているんです」

昔は風呂? 今はつまみとビールで蒲焼きを待つ。

肝焼き

「鰻弁慶」の肝焼き。串は大ぶり、これ1本に約7匹分の肝が使われている。「鰻は長いようでも肝はある部分、細いので、そんなにとれないんですね。だから夕方で売り切れになっちゃう日が多くてね」(雨宮さん)。蒲焼きと違い、地焼きで焼き上げた肝は歯ごたえがよく、苦味がきいてオツな味。辛口の生ビールとの相性が抜群。

「そんなかんなで蒲焼きというのは、時間がかかる料理です。昔は待ち時間に、お客さん、風呂に入ったりしてね。うちは先代が、鰻というのはもともと庶民の食べ物なんだから、旨いものをもっと気楽に食べていただきたいと、値段も高すぎず、待ち時間もなるべく少なくて済むようにと仕事に工夫を重ねてきた。具体的には企業秘密だけれど(笑)、要は細かな仕事の積み重ねと、素材の見極めです。
 それでも座ってすぐ蒲焼き、鰻重が出るというわけにはいかない。夜ならつまみをつつきながら旨いビールでも飲んで、焼き上がりを待ってもらうことになる。だから鰻屋にとって、ビールは大切でね。ないがしろにはできない。その上、うちは蒲焼きのタレがちょっと辛めの江戸前風。一緒に味わうビールもこのタレに負けないコクと、スッと切れる後味がなくちゃ、具合が悪いんです。
だから、ビールは瓶も樽生もスーパードライと決めてるんです。スーパードライはすっきりした口当たりの中に洗練された旨味があってね。お酒というのは料理をおいしく食べるためのものだから、鰻でいえば、後口の爽やかさはスーパードライじゃないと引き立たない。江戸前の鰻には、スーパードライがぴったりくると思ってるんですがね」


SHOP DATA
鰻弁慶鰻弁慶

活気あふれる上野中通商店街の一角、地元で古くから愛され続ける鰻の老舗。もともと割烹料理屋だったが、庶民の味である鰻が高級料理になっていく様を嘆いた先代店主が“鰻”の看板を掲げたのが始まりという。蒲焼きは1785円〜、鰻重(肝吸い付き)1995円〜。ほかに、白焼き、柳川など定番のつまみに加え、天ぷらや刺身など各種和食も揃う。鰻の老舗が集まる「うなぎ百撰会」の加盟店。気どらない雰囲気の中、江戸前鰻の味を満喫できる。
●東京都台東区上野4-5-10
TEL.03-3831-2283
営業時間/11:30〜21:50
毎月第3月曜日定休
1階は民芸情緒豊かな
欅造りの椅子席、
2階・3階は白木組みが
端正な檜造りで座敷席もあり
カード/ほぼすべて可



●商品に関するお問い合わせ/
アサヒビール株式会社 お客様相談室
(9:00〜17:30 土・日・祝日を除く)
フリーダイヤル 0120-011121
www.superdry.jp

 
 

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