赤坂「旬香亭」の家庭料理教室
第二回

つくってうれしい「アジの南蛮漬け」

 
 
カラリと揚がったアジを、ピリッと唐辛子の効いた漬け汁が華やかに引き立てます。
「アジの南蛮漬け」は、夏の魚料理の代表格。誌面では、和風だしのとり方や、
アジのさばき方なども詳細に紹介していますが、スペースの関係でここではその
一部をお楽しみください。
 
 
「旬香亭」和の料理人
堀内陽彦 = 今回の先生「旬香亭」主人
斉藤元志郎 = 総指揮鹿野真砂美 = 文古市和義 = 撮影
 
 
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中まで味のしみ込んだ豆アジは骨まで柔らかく、頭から丸ごと食べられる。おいしいだしをたっぷり含んだ焼き茄子とお吸い物を添えて、しみじみと心休まる夏の献立が完成。

 毎日のおかずに、手の込んだ魚料理が登場する機会は、最近はあまりないような気がする。魚屋さんでもスーパーでも、お願いすればすぐに刺身にまでさばいてくれるし、焼き魚や煮魚もお惣菜として売られている。忙しいときには便利だけれど、それではワンパターンなメニューになりがちで、ちょっとつまらない。

 暑い季節においしい魚といえば、アジ。鮮魚売り場にも、丸々太ったピチピチのアジが並んでいるが、普段は簡単に塩焼きなどで済ませてしまうことも多いのではないだろうか。もちろん、新鮮なアジなら焼くだけで十分おいしいのだが、こんなに手頃で身近な素材、もっと使いこなさなければもったいない!

「それなら、今回はアジを使って南蛮漬けをつくりましょう。漬け汁にたっぷりとだしを入れるので、和食の基本であるだしのとり方もマスターできて一石二鳥です」と話すのは「旬香亭」の和食料理人、堀内陽彦さん。

夏にピッタリの、さっぱり味。
つくり置きできるのもうれしい

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洋食と和食、それぞれの料理人たちの創意あふれる料理の数々を、息の合った小皿コースで楽しめる「旬香亭」。今回の先生は、和食担当の料理人として活躍する堀内陽彦さん。「魚のさばき方と、和食の基本、だしをマスターすれば、もう怖いものなしです。いつもの料理も、あしらいや彩りにちょっと気を遣うだけで、雰囲気が変わりますよ」。

 カラリと揚げたアジを、唐辛子と酢を効かせた漬け汁にジュッ。ご飯にもビールにもぴったりの南蛮漬けは、暑い季節にもさっぱりと食べられる優秀おかず。ただ、アジをさばき、油で揚げ、漬け汁に浸すという工程を想像するだけで、面倒! と思ってしまうのも事実である。でも実は、余裕のあるときに仕込み、つくり置きができるという点では、忙しい日にパッと出せるおかずとして、なかなか便利な料理でもあるのだ。

「今日使うのは、豆アジです。香ばしく二度揚げすることで頭から丸ごと食べられますよ。小さいから下処理する魚の数は多くなりますが、慣れるうちにスピードもアップしてくるので大丈夫」

 下処理後はしっかりと水気を取り、全体に薄く小麦粉をはたく。片栗粉をはたくレシピもあるが、そうすると漬け込んだ後に衣がベチャッとなりやすい。小麦粉をはたいたら、時間を置かずにすぐ揚げはじめよう。頭も骨もそのまま食べられるよう、ここでは二度揚げをしてアジの水分を抜きながら香ばしく揚げるが、三枚におろしたアジを使うなら、揚げ時間が少し長めの一度揚げでも構わない。

 漬け汁も、だしと酢、醤油に一味唐辛子を合わせるだけと簡単だ。お惣菜店や料理店の南蛮漬けは甘味や酸味がきついものもあるが、まろやかな米酢を使い、砂糖など甘味を入れずにさっぱりと仕上げるところがコツ。たくさん使う玉ねぎの自然な甘さも引き立つ。

たっぷりの鰹節がコクを出す。
基本のだしは、簡単かつ贅沢

 ここで存在感を放っているのが、だし。調味料は酢と醤油だけなのに味わいに奥行きがあるのは、しっかり昆布と鰹節を効かせただしの成果が大きい。堀内さんから教わっただしのとり方は、簡単かつ贅沢。まず昆布を柔らかくなるまで弱火にかけて引き上げた後、驚くほど大量の鰹節を投入、そのまましばらく火にかけて風味を引き出すのだ。昆布を引き上げたり鰹節を漉すタイミングを計ることに、それほど神経質になることもないし、たっぷりの鰹節を入れることで香りとコクが増す。さまざまな料理の基本になるだしだから、つくるときは思い切って贅沢してみよう。

 だしは一度にたくさんつくって、副菜や汁物にもどんどん使う。塩だけで調味して焼き茄子を浸したり、彩り豊かな具材を添えて料亭顔負けのお吸い物を仕立てたり。だし一つでいつもの料理の味もワンランクアップすること間違いなしだ。

アジの南蛮漬け
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豆アジは二度揚げでしっかりと水分をとばすことにより香ばしく、骨まで残さず食べられる。しんなりとアジにからみついた野菜も美味。豆アジではなく、大きめのアジを三枚におろして使ってもいい。

 さて、話はアジに戻って今回はもう一品を紹介。薬味たっぷりの豆腐ダレを添えた、一風変わったアジのたたき。大きめのアジを使い、三枚おろしから教えてもらった。ここでは包丁で皮を引いているが、難しければ細い菜箸などを利用してもいい。大きなアジを使って南蛮漬けにするときも、この工程を参考に。その場合は皮は引かないが、ウロコとゼイゴはしっかり取ろう。

 大葉や青ねぎ、みょうがなど大量の薬味と豆腐をすり合わせたタレは、そのままでも美味! 水分が出やすいので、食べる直前に仕上げるように気をつけよう。冷しゃぶなどに添えるのもお薦めだ。

 まだまだ厳しい暑さの続く毎日、バテた体をじんわり癒してくれるのは、気取らない和のおかず。しっかり食べて、残暑も乗り切りたい。

アイコン

ひんやり茄子の小鉢とあっさり味のお椀を
一緒に並べれば、涼しげな食卓の完成だ。

材料(4人分)
茄子 4本
オクラ 8本
生姜(すりおろし) 適量
漬け汁 基本のだし(誌面参照)……360cc
塩……小さじ1強(6g)



相性よしの、茄子の小鉢
 焼き茄子の煮浸し風
焼き茄子の煮浸し風

普段はおかかと醤油をかけるだけの焼き茄子も、だしに浸すというひと手間だけで、味わいも見た目も一品料理としてグッと洗練された印象になる。多めにつくって、素麺などに添えてもおいしい。

【つくり方】
[1]冷たい基本のだしに塩を入れて漬け汁をつくる。
[2]茄子はガクの先を切り落とし、網の上にのせて強火で焼く。全体が黒く焦げたら箸で押さえる。芯がなく柔らかくなっていたら氷水につける(写真A)。
[3]冷めたら皮をむき(B)、布巾などでしっかり水気を拭き取る。[1]の中に入れて1時間ほど味をなじませる。
[4]オクラのガクを取り、塩(分量外)をすり込むようにしてうぶ毛を取り除く。沸騰した湯の中にオクラをそのまま投入してゆで、柔らかくなったら取り出して氷水に入れる。冷めたら取り出して水分を拭く。
[5][4]を縦半分に切って中の種を取り出し(C)、細かく刻んで粘りが出るまでたたく。
[6][3]の茄子を食べやすい大きさに切り、器に盛る。[3]の漬け汁適量をかけ、[5]を添え、生姜をのせて出来上がり。


材料(4人分)
椎茸 4個
豆腐 2/3丁
蒲鉾 約2cm分
三つ葉 4本
基本のだし 750cc
10cc
淡口醤油 5cc
少々
※醤油と塩は、好みで加減する。
優しい味の、椎茸と豆腐のお椀
 お吸い物


お吸い物だしのおいしさを、じっくりと味わうならお吸い物。だしの中で直接豆腐や椎茸を加熱せず、面倒でも別鍋で温めたり下煮をしておくと汁が濁らない。具は好みでいろいろと工夫してみよう。

【つくり方】
[1]椎茸は石突きを取って、両面に細かく切り目を入れる。表と裏で、向きがクロスするように。豆腐は4等分する。蒲鉾は5mmほどの厚さに切り、三つ葉は根を切り落として結ぶ(写真A)。
[2]基本のだしを強火にかけて酒を加える。沸いてきたら淡口醤油と塩を加える。
[3][2]を約150cc鍋に取り、椎茸を汁気がなくなるまで煮含める(B)。
[4]別の鍋に湯を沸かし、豆腐を入れて約1分間温める。
[5]お椀に[3][4]、蒲鉾、三つ葉をすべて並べ、温めた[2]を静かに注ぐ。


●旬香亭
住所 東京都港区赤坂2-17-69 ムトウコーポ1階
電話 TEL.03-3585-8671
営業時間 12:00〜13:30(L.O.)、18:00〜20:30(L.O.)、月曜は夜のみ
定休日 日曜
カード ほぼすべて可 要予約
※8月6日から9月5日まで、日本橋高島屋地下の「旬香亭デリ」で、
今回と同じレシピのアジの南蛮漬けを販売予定。
 
 

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