フランス●パリ

ワインブティックに併設されたレストラン。
主役のワインを選んでから、テーブルへ向かう至福

 
 
在・パリ
加納雪乃 = 文
 
 

 自他共に認めるワイン大国フランス。ワインバーやワインレストランの数は星の数ほども擁するパリに、2002年9月、一風変わったワインバーおよびレストラン「ラヴィニア」が誕生した。

 同名のワインブティックに併設された店の魅力は、なんといってもそのワインのチョイス。1500平方メートルというヨーロッパ最大規模の売り場に並べられる、世界各国から集められた6500種のワインや蒸留酒から好みのものを選んでバーやレストランへ持ち込み、ブティックの小売価格のままで飲めるのだ。

 上階のイート・スペースへ行く前に、15人もいるソムリエの意見を仰ぎながら、まずは温度管理や保存管理が完璧になされたワインたちの中からお気に入りの1本(もちろん2本でも3本でもよいのだが)を選び出そう。なにせ、これから始まる食事時間の主役は、料理というよりワインなのだから。

LAVINIA
ラヴィニア
photo
3/5, bd de la Madeleine 75001 Paris
tel.01-42-97-20-20
営業時間/ブティックとバーは10時〜20時(土曜は9時〜)
レストランは12時〜15時
日曜休み

 楽しいひとときを演出するための飲み物が決まったら、それを持っていざ上階へ。ブティックの営業時間中ノンストップで営業しているバーは、背の高いテーブルとカウンターに面したコーナーとに分かれ、一人でも気軽に利用できる雰囲気。ランチ時には、落ち着いたトーンでまとめられたレストランにゆっくり腰を落ち着けたい。

 選んだお酒は、白ワインなら少し冷やすために、赤ワインなら逆に室温に戻すための時間が必要だろう。その間、アペリティフに、その週のお薦めリストのグラスワインをいただきながら料理選びを楽しもうか。

 料理は、香り高いワインソースととろけた黄身が絶妙のハーモニーをかもし出す“落とし卵の赤ワインソース”、“野うさぎの血煮込み”など、クラシックでワインにピッタリのものばかり。選んだワインが深みとコクのあるローヌ地方のものなら、血を使ってじっくり煮込んだうさぎ料理のたくましさをぶつけて楽しみたいし、品よくまろやかなブルゴーニュワインを選ぶのならば、同地方の名産で高級食材であるブレス鶏のきのこ詰めの繊細なおいしさを味わって、同じ土地の酒と料理の相性のよさを実感したい。飽きのこない家庭料理を相方に、選んだワインもどんどん進む。料理に合わせたお薦めワインをグラスで追加してもいいだろう。ワインの消費量が年々減りつつあり、対照的にミネラルウォーターの消費が増えている昨今のフランスだが、ここはなんといってもワインのためのレストラン。大手を振ってその魅力に酔いしれよう。フロマージュも、“ルブロション”“ヴァシュラン・モンドール”など、タイプの異なるものが6種類も用意されている。

 デセールの“洋なしの赤ワイン煮”を食べる頃には、酔い加減もちょうどよく、せっかくの気持ちよさをカフェなどで壊したくない心境。ここはやはりミュスカ(マスカット種から造られる甘口ワイン)やヴァン・キュイ(加熱処理した甘口ワイン)などをすすって、ワインランチの完成といきたい。スパイス香を感じられるヴァン・キュイにからむ、洋なしと赤ワインが一体化した香りよい甘味に陶酔して締めくくる食事の幸福感はこたえられない。

 通常、レストランでは、まず料理を決めた上でそれに合うワインを選ぶのが常套手段だが、「ラヴィニア」では逆に、好きなワインをまず決めてからそれにふさわしい料理を選べる。6500種という選択肢からお気に入りの1本を探し出す充実感は、ほかのワインバーでは味わえない。ブティックの営業時間に合わせているため、ディナー時の営業がないのが残念だが、朝から夕食前まで、好きな時間にワインを楽しめる店だ。

photo
Menu
落とし卵の赤ワインソース
ブレス鶏のきのこファルシ 忘れられた野菜を添えて
野うさぎの血煮込み ジャガイモ添え
熟成フロマージュの盛り合わせ
洋なしの赤ワイン煮 フロマージュブランのソルベ添え
Wine
コート・ロティ 1998年
マルサネイ“レ・ボワヴァン”VV 1999年
 
 

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