肉屋&お惣菜屋で見つけた愛すべきおいしさ

和風「シウマイ」は辛子醤油がよく似合う

 
 
鈴木優子 = 文加藤雅昭 = 撮影
 
 
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肉のあづまや
東京都墨田区東向島4-2-6
営/8:00〜19:00 休/日曜
※戦後すぐにこの場所に移転してきて、すでに50年以上経つ老舗の肉屋。現在で三代目という。豚肉、牛肉、鶏肉を扱う。惣菜はコロッケ80円、レバーフライ100円など。
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 焼売は不思議な食べ物である。餃子のように熱狂的ファンがいるでもなく、「今日は焼売!」といっても家族が手を叩いて喜んでくれるかどうかもわからない。しかし、気がつくといつの間にか食卓に鎮座しているのである。だから、しばらく見かけないと、無性に恋しくなる。餃子と違うのは、外で買ってくる機会が多いこと。食べたくなったら、肉屋や惣菜屋に買いに走る。運よくホカホカの蒸したてに出会えた日にゃ、気持ちまであったかになる。帰り道につまみ食いしたりして、買いに行くのもまた楽し。

 でも、肉屋や惣菜屋の焼売は、中国の焼売と何かが違う。材料? つくり方? ようし出動、まずは肉屋を直撃だ!

「普通、肉屋の焼売は、肉はつなぎ程度にしか使ってないよ。ほとんどが片栗粉と玉ねぎ」と仰天な事実を明かしてくれたのは、東向島で50年以上肉屋を営んでいる「肉のあづまや」の丸山克也さん。これまでの私の認識を覆す説にビックリ。焼売って玉ねぎと片栗粉でできていたの!? 今まで私は片栗団子を食べていたというのか。

「だから、うちのは"肉焼売"と名付け、ほかの焼売と差別化してるんです。片栗粉は少なめだし、肉は玉ねぎの倍量入っていて、決してつなぎではない」

「あづまや」の焼売は、豚肉のゼラチン質が多い部位と鶏胸肉のミンチに、豚の背脂を加えてつくる。小ぶりだが、肉が多く、脂分があんをなめらかにしている。味つけは薄味で、辛子醤油で食べるのが一番。一個35円という親しみやすい値段で、近所のオバちゃんや子供連れの主婦が買いにくる。この家の今晩のおかずは焼売なのね、と思うとフフッと心和む。

 焼売は中国南部が発祥といわれるが、日本では、横浜中華街で突き出しに使われていた焼売を、「崎陽軒」が弁当にして広めたといわれる。中国料理の焼売はまさに肉の塊で、味もしっかり施され、そのままでも食ベられるものが多いが、肉屋で売っている焼売はちょっと違い、日本ならではの独自の進化を遂げてきた。柔らかく、薄味につくったものを辛子醤油で食べる――そんな和風焼売ともいえるものが大勢を占めているようだ。

テイクアウト焼売は個性派揃い。
家庭的な味が人気の秘密

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とらや
東京都杉並区西荻北2-11-4
営/9:00〜19:00 休/日曜 祝日
※主に鶏肉を扱うが、注文があればラムや牛タンなども仕入れる。惣菜約10種、コロッケ80円、カキフライ80円など揚げ物も旨い。

 そんな和風焼売と中国料理店の焼売のいいとこ取りをした焼売が西荻窪にあるという。この地で30年営業している地元では有名な肉屋「とらや」である。ここは精肉のほか、コロッケやメンチ、サラダなど、手づくり惣菜が豊富に揃う。

「惣菜の中では、焼売はそれほど主力商品じゃないねぇ」と主人の塩崎靖男さんは素っ気ないが、つくり方はどうして力が入っている。

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「余分な脂は落としてます。入れすぎると、柔らかくなって片栗粉をたくさん使わなければならなくなるので」

 あくまで肉が主体なのだ。挽き肉は豚のスネ肉を使い、片栗粉も少ない。あんはほかに玉ねぎだけとシンプルだが、味つけは塩、砂糖、醤油、生姜、胡麻油、そして牡蠣油と中華料理店顔負けの本格派である。しっかり味があるので、冷めても旨い。辛子醤油もいいが、そのままでもビールのつまみにもいけそうだ。

 玉ねぎで甘味をつける和風のよさを残しつつ、味つけに中華風を取り入れたオリジナリティーあふれる「とらや」の焼売。一度食べると、やみつきになりそうな個性派の一品だ。

 個性的といえば「とらや」と一駅違いの荻窪にもひと味違う焼売を売る店があるという。さっそくその「さとうコロッケ店」へ向かってみる。

 コロッケの傍らに焼売がちゃっかり並んでいる。ここの焼売は一目見て違いがわかる。とても色白なのである。

「肉1に対して玉ねぎが2.5と多いんです。あんは柔らかくしたいので、片栗粉を大量に入れたりしません。片栗は肉の半分以下。柔らかさを調節するために、つくったあんは冷蔵庫に入れてねかせます」

 と主人の石井政弘さん。味つけも塩と胡椒のみとシンプル。グリーンピースをのせる形はオーソドックスだが、皮面を上にするのがユニークだ。

 蒸したてを一ついただく。ふんわり柔らかで淡い味、辛子醤油がよく合う。和風は和風でも色白の楚々とした和風美人といった風情の焼売である。

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さとうコロッケ店
東京都杉並区天沼3-29-13
営/11:30〜18:30(14:00〜15:00は休憩時間)
休/日曜 祝日
※8年前に開店。焼売と同様、塩、胡椒でシンプルに味つけしたコロッケ80円、メンチ100円もお薦め。
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「年配客が多いので、味つけはあっさりさせてます」。お年寄りや子供にも受ける優しい味わい。奥さんと娘さんの3人で切り盛りしている家族経営の店ならではの温かさが焼売に表れているようだ。

 おかずによし、ビールのつまみによし、子供のおやつによし。さらに冷めてもよしの貴重な食卓の友、焼売。一見どこも同じかと思ったら、各店でさまざま工夫が凝らされていた。なのに涙ぐましいまでの庶民派価格。焼売がここまで優れものだったなんて、正直知りませんでした。おまけにテイクアウトなのに温かい家庭の味がする。やっぱり焼売は愛すべき不思議な食べ物である。

 
 

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