試食日記

おいしいパンに出会える幸せと、
横浜中華街の楽しさを

旨いパンは食べたいけど、食事とともにあるパンは
おいしすぎるのも困る?

 
 

「おいしいパン」を探し続けたこの1カ月間、本当に楽しかった。これが実感です。いいパン屋さんが飛躍的に増えたからです。普段のレストラン回りと比べて、がっかりさせられることが少ない。実に幸せなことでした。

 噛むほどに小麦の風味が広がる力のあるパンは、バターやジャムがいらないことを教わりました。でも、ハード系と呼ばれるフランスパン類は、元来食事とともにあるものですから、おいしすぎるのは困るわけです。あくまでも料理の邪魔をしない味が求められる、つまり必要以上に甘味があるのはおかしいはずです。逆に、朝食にそれだけで完結するような食べられ方をする食パンは、豊かな旨味も積極的に評価されていい。

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パンには前衛的なものもあれば、人の心を和ませてくれるような、ちょっとクラシックなものもある。

 一口にパンといっても、ハード系、食パン、菓子パン……とさまざまです。試食を重ねるにつれ、パン屋さんの真の実力は、一つ一つのパンから、それぞれが食べられるシーンを思い浮かべられるような、つくり手の明確な意思があるかどうかで計ることができる、と思い至りました。

 そんな中で出会った「プクムク」のパンには、まったく別の世界がありました。心にしみる味わいがあったのです。ハード系にちょっと疲れた心を癒してくれるという感じでしょうか。その優しいパンは人柄がつくっていることが取材を通してよくわかりました。これも、大事なおいしさです。今回の特集では、「おいしいパン」をたくさん紹介しましたが、おいしさの方向性は一つではない。これが、パン人気の秘密かもしれません。

 
 
dancyu 2002年4月号
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